
この記事をまとめると
■中古車買い取りの大手だった「ビッグモーター」は自動車の保険金を不正に請求していた
■預かった車両を故意に破損させるなどその手口は非常に悪質だった
■2024年には伊藤忠商事やジェイ・ウィル・パートナーズの資本下で「ウィーカーズ」として再出発した
旧ビッグモーターはいまはどうなっている?
2023年から2024年にかけて、中古車の販売や車両の買い取り、修理などを行うビッグモーターが連日ニュースになった。クルマのボディをゴルフボールで傷つける、タイヤを故意にパンクさせるといった行為により、自動車の保険金を不正に請求していたからだ。
一番の問題は、ユーザーから預かった車両を故意に破損させるなど損害を与えたことで、波紋は保険業界まで幅広く広がった。損害保険会社に、ビッグモーターの不正を黙認する状況があったからだ。たとえばビッグモーターに1台の車両を修理で入庫すると、同社が損害保険会社に対して、5台分の自賠責保険の取り扱いを割り振る仕組みが成り立っていた。つまり、不正により損害保険会社にも利益がもたらされる構図があった。
そして、ビッグモーター側の故意による車両の破損を保険で修理すれば、ユーザーの保険等級が下がり、保険料は高まってしまう。そうなればユーザーはさらに不利益を被り、保険会社は一層の利益を得ることになった。このほか、ビッグモーターの店舗周辺の街路樹を除草剤によって枯らすなどの問題も顕在化した。
この後、2024年に伊藤忠商事、伊藤忠エネクス、ジェイ・ウィル・パートナーズが新たに「ウィーカーズ」を発足させ、ビッグモーターの事業を引き継いだ。営業拠点や建物は同じでも、看板は当然ながらウィーカーズに変更されている。ビッグモーターの創業家は、経営に関与していない。店舗数は約250拠点になり、ウィーカーズは営業を続けている。
中古車販売や整備業者を含めて、自動車業界に就職する人には、当たり前だがクルマ好きが多い。故意にクルマを壊すことは、事情や理由がどうであれ、やりたくない行為だ。ウィーカーズは新しい経営陣によってコンプライアンスを徹底させ、健全な経営を目指している。ユーザーに優しい良心的な業者に生まれ変わってほしい。