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航空分野に発電機! クルマに限らなければロータリーエンジンは可能性の塊だった

航空分野に発電機! クルマに限らなければロータリーエンジンは可能性の塊だった

この記事をまとめると

■ロータリーエンジンは小型・高出力・低振動といった特徴をもつ

■ラジコンヘリやコージェネ、発電など産業用途での研究が重ねられてきた

■独自の長所を活かしクルマ以外の分野でも今後の展開が期待される

ロータリーの生きる道がクルマとは限らない!?

 ヴァンケル型ロータリーエンジンといえば、マツダを代表する技術のひとつだ。MX-30のプラグインハイブリッド車(PHEV)も、新しいエンジンを開発し、R(ロータリー)EVと称されている。

 ロータリーエンジンの長所は、同軸上で回転するローターにより燃焼を行って出力を得るため、振動が少なく、小型化できるところにある。また、おむすび型といわれる三角形のローターは、3カ所の燃焼室があるため、1回転あたり3回の燃焼が可能となるため、4ストロークはもとより2ストロークと比べても高出力エンジンになる可能性を秘めているのだ。ちなみに、4ストロークは2回転で1回の燃焼、2ストロークは1回転で1回の燃焼だ。

 マツダの地元である広島県では、経済産業省の競争的研究資金を活用し、産業用としてのロータリーエンジンの開発を手がけている。県内外の企業や研究機関が協力し、開発の鍵となるアルミニウム複合材と、マツダも開発当初に苦労したアペックスシール(ローターとハウジングの接点)の鋳鉄材の改良に取り組んだ。

 それらの研究により、外側のケースとなるハウジングのアルミ化が実現し、さらなる軽量化につながった。そして、試作した30ccの小さなロータリーエンジンをラジコンのヘリコプターに搭載し、飛行実験にこぎつけたという。

 ロータリーエンジンとすることで、2ストロークのレシプロエンジンを搭載した場合と比較して寸法と重量をほぼ半分にできたとのことだ。軽さは、空を飛ぶ乗り物としては重要な要素であるから、これは注目に値する。

 ほかにも、マツダのロータリーエンジンを活用したコージェネレーションシステムの研究も行われた。コージェネレーションとは、発電した電気と、それに際し使った熱の両方を利用する、エネルギーを有効活用した環境技術のひとつだ。

 ロータリーエンジンは振動や騒音が小さく、エネルギーシステムとして住宅などとの隣接地域で利用しやすくなる。また、小型化できるため、設置場所の制約が低減できる。この試験では、ガスを燃料とすることで、排出ガスの大気汚染の防止にもつながることになる。

 ロータリーエンジンが水素燃料との相性がよいことは知られている。燃料の多様性をもつロータリーエンジン活用の一例になるのではないか。そのほか、燃焼ではなく、温度の高低差で動かすロータリーエンジンを使い、発電に利用する研究も行われているようだ。ロータリーエンジンを横へ寝かせて搭載した、船外機もかつて試みられたことがある。

 ロータリーエンジンを横に寝かす使い方としては、マツダがデミオEVの試作車でレンジエクステンダーの発電用に専用開発したこともあった。

 エンジンの効率を高める開発においてはロータリーエンジンはレシプロエンジンに比べ限界が低いかもしれないが、クルマ以外の分野においては、そもそも小型であり、出力を得やすく、振動や騒音が少ないなどの長所が活かされ、新時代の動力源となるかもしれない。

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