この記事をまとめると
■高速道路に表示される所要時間は車両の通過を実際に検知することで計算されている
■交通が順調なら緑色、渋滞ならオレンジ色、通過に2時間以上かかる場合は赤色で表示される
■車両検知器には超音波式以外にも画像式、ドップラ式、光ビーコン式などがある
クルマの感知は円滑な交通には欠かせない
高速道路で掲示板に示される目的地までの所要時間は、けっこう的を射ている。その仕組みは、比較的単純だ。単純であればこそ、正確さもあがるということだろう。
クルマの通行を、高速道路では2kmごと、首都高速では300~600mごとに、検知器を使って感知している。車両検知器は、超音波を使い、クルマを感知する。その情報を基に、次の検知器までの所要時間を計算し、速度を出すとともに、そこから得られる移動時間を積み上げることで、目的地までの所要時間を算出する。超音波を使うのは、転向や昼夜の別など含め、安定した感知ができるからだ。
高速道路の超音波式車両検知器画像はこちら
ただし、走行速度の上限は、制限速度までとしているので、制限速度を守って走り続けた際の到着時間予測になる。渋滞などで速度が下がれば、当然感知機間の移動時間が長くなり、その積み重ねで目的地までの時間も余計にかかることになる。
現場のクルマの速度を車両通過の感知から計算して出しているので、簡単な手法とはいえ、現実に即した情報提供になり、かなり正確な所要時間が示される。ただし、目的地が遠いほど交通状況の変動が影響するため、時間の長短が生じるが、それは交通情報として提供されることになる。
情報版の文字は、順調なら緑色、渋滞していればオレンジ色、通過に2時間以上かかる場合は赤色で表示される。
高速道路の所要時間表示画像はこちら
車両検知の方法は進化を続けており、現在は、道路の下に埋め込んだ検知器を使うことも行われている。その最新仕様は、光ファイバーを使い、クルマが通過する振動を拾って認識するというもので、人間が歩いても感知できるほどの精度にあるようだ。
ほかに、ETCの2.0化にともない、プローブ情報を活用すると手法もある。クルマの位置情報を通信で得ることにより、クルマの速度や、台数が集中する様子を集めることができる。プローブ情報は、東日本大震災の折に、通行できる道路を探すなどで活用がはじまっている。1台でも、クルマが通行した軌跡があれば、その道路は通過できる状態にあることを知ることになる。
ETC2.0の車載器画像はこちら
道路設備としての車両検知器が進化するとともに、クルマが通信機能をもつことにより、どこで渋滞が発生しているのか、それは自然渋滞か、事故渋滞などによりより深刻な事態であるかをある程度把握しやすくなっている。プローブ情報であれば、道路側の設備の保守管理といった手間も減らすことにつながるだろう。
車両感知の分野では、ほかに、画像式、ドップラ式、光ビーコン式など、機器の違う方式がある。それぞれに最適な用途があり、画像式は、限られた範囲のクルマの混雑状況を画像から認識し、たとえば信号機に活用することで、右左折の時間を調節したり、交通量の少ない交差点での信号の切り替えを制御したりすることに使われる。
高速道路の車両検知器画像はこちら
ドップラ式は、超音波の反射時間のズレを利用して、クルマの存在を認識し、交通量の少ない道路からの流入などに応じて、都度の信号制御を行うなどで利用される。光ビーコンは、車両側にも機器を設置し、道路側とクルマの相互通信により、情報提供や安全支援制御などに用いる。
情報は、クルマの円滑な利用に欠かせない時代になっており、円滑な交通は、余計な燃料消費などを抑えることにもなって、環境対策ともつながることになる。