
この記事をまとめると
■ボディ表面の擦り傷を目立たなくするコンパウンドには研磨粒子が含まれている
■コンパウンドの主成分は界面活性剤、研磨材、石油系溶剤など
■下地が出ているような深い傷をきれいにするような効果は望めない
それほど深いキズじゃなければ試してみる価値あり
ベテランドライバーでもふとした瞬間、バンパーの角やサイドシルの下を擦ってしまうことがある。また、狭い道で対向車とすれ違うとき、道路脇の草や木の枝でドアやフェンダーを傷つけてしまうことも……。
そんなとき、頼りになるのが小傷取り、艶出し用のコンパウンド。
コンパウンド(compound)とは、英語で「化合物」という意味で、簡単にいえば研磨粒子が含まれた「磨き剤」のこと。その主な成分は、界面活性剤、研磨材、石油系溶剤などで、液体やチューブに入ったペースト状のものが主流。
「磨き材」なので、コンパウンドで磨くというのは、原理的にいえば非常に目の細かい紙やすりをかけるのとほぼ同じ。
ボディに線傷、擦り傷、引っかき傷などがついたとき、塗装面にはその傷によって生じた細かな段差ができている。
コンパウンドは研磨成分によって、塗装面の表面を薄く削り、段差をなだらかにして傷を目立たなくするので、傷が消えたように見えるわけだ。
コンパウンドは研磨粒子の大きさによっていくつか種類があり、通常は粒子の荒い「細目」から、粒子の細かい「極細」→「鏡面仕上げ」といった3種類のコンパウンドをウエスや専用のスポンジにつけ、目の粗いコンパウンドから順に少しずつ磨くようにして拭き取ることで、傷を消し去っていくのがオーソドックスなやり方。
磨くということは、塗装面を削ることでもあるので、コンパウンドで消せる傷には限りがある。
クルマのボディは鉄板の上に下地塗装があり、その上に色のついたカラーの上塗り層があり、一番上にクリア塗装が塗られている。
コンパウンドによるケアが有効なのは、クリア層だけが削れた浅い傷まで。目安として、傷ついた部分を水で濡らしたときに、ほとんど傷が見えなくなる程度なら、コンパウンドをかけるだけで、ほとんど傷を消し去ることが可能なはず。
反対にカラーの層まで削れていたり下地が見えているような傷は、タッチアップペンなどで再塗装する必要がある。
コンパウンドのなかには、研磨剤とともに細かい顔料が入ったカラーコンパウンドもあり、色褪せた部分の艶を復活させるのに効果があるものも存在するので、これを試してみるのもひとつの手。ただし、カラーコンパウンドでも、下地が出ているような深い傷をきれいにするような効果は望めないと思ってほしい。