人気ミニバンの四駆モデルを雪道で試す
雪上コースと氷上コースの移動にはe-4ORCEの2台、行きはアリアNISMO、帰りはエクストレイルに乗った。路面は一部が雪で除雪された舗装路が大半だったが、雪道でも舗装路の延長上の感覚で不安なく走れる。VCターボでe-POWERでe-4ORCEというエクストレイルはどこでも走りやすいことがよくわかったが、せっかくなのでアリアNISMOも氷上で乗ってみたかった気もする。
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雪上コースでは、まず昨年秋に人気のe-POWERに、待望のe-4ORCEが追加されたセレナをドライブした。このタイミングでの発売となったのは、ミニバンであるセレナにe-4ORCEを搭載するにあたり、モーターやバッテリーなど諸々を上手く収める必要があったからだ。
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そのため、リヤのフロアやサスペンションが新設されており、もち前の広い車内空間や荷室開口高など使い勝手にほとんど影響を与えていない。それどころかe-4ORCEの使われ方を想定し、雪道に備えて最低地上高を既存モデルの135mmから150mmに拡大したという力の入れようだ。
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e-4ORCEは、4輪のグリップ力を最大限に発揮できるよう、ドライバーの操作と車両の前後左右Gなどの情報から理想的な目標車両挙動を決め、それに向けて状況によってはフィードフォワードで制御し、前後ふたつのモーターと左右のブレーキを個別ではなく統合制御して、各車輪の駆動力を最適にコントロールしているのが特徴だ。そこがe-POWER 4WDとの最大の違いとなる。
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人間の能力をはるかに超える速さで緻密に車体をコントロールできるのがe-4ORCEの強みであり、セレナではよりアンダーステアが出にくいようにチューニングしたとのことで、その効果らしきものはたしかに感じられた。切り始めからあまり遅れなくよく曲がり、思ったとおりにラインをトレースしていける。
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また、e-4ORCEの緻密なトルクコントロールによりフラットな姿勢を保つ機能に加えて、未舗装路をセンシングする技術の活用により安定して走れることも、凹凸のある雪道で体感できた。
さらに、e-4ORCEをミニバンのセレナに搭載するにあたって、加減速についても工夫している。これまでも減速時に頭部が前のめりになりにくいようにされていたが、セレナでは加速時にも揺れにくい特性とされている。おかげで同乗者はより快適にドライブできてクルマ酔いしにくくなる点も光る。
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こうした雪道を走るときには、e-4ORCEに設定されているSNOWモードがやはり重宝する。ちょっとした登坂や深く雪が積もった場所でも、前輪が滑ってからではなく、最初から4輪で駆動するので、力強くなめらかに発進できて、そこからの出力特性も、滑らないよう抑えながらもコントロールしやすいように味付けされているので、いたって乗りやすいのだ。
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しめくくりにノートAUTECHクロスオーバーをドライブした。オーラではなく5ナンバーのノートがベースであり、リフトアップした専用の足まわりが与えられているのが特徴で、地上高が十分に確保されているおかげで、雪道も臆することなく走れる。
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e-4ORCEと違って、ブレーキとトルクを個別に制御しているが、軽量ゆえ電動4WDの価値や性能を十分に発揮できていると開発サイドでは考えているというとおり、こちらも何の不安も不満もなく、安全に思ったとおり走ることができた。
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電動パワートレイン4WDの恩恵は路面を問わず、こうした氷上や雪上のような状況ではなおのことありがたみを増すことがよくわかった、貴重な機会であった。