軽自動車が日本車の勢いを取り戻す! 世界で注目を浴びる「Kカー」こそニッポンの最終兵器だ (2/2ページ)

軽自動車を世界で販売するためには現地化が不可欠

 パキスタンでは、アルト(日本での先代)とエブリイがラインアップされているが、いずれもボディサイズ、排気量ともに日本の軽自動車規格となっていた。

 前述したタイやマレーシア、スリランカでは、正規販売ではなく日本仕様を個人的に輸入し販売している。また、インドのワゴンRのように、ボディサイズや排気量を拡大して正規販売するといったケースもある。しかしパキスタンでは、日本規格の軽自動車が正規販売されているのである。

 タイを例にすれば、タイの富豪(東南アジア全般にいえるが)のレベルは日本では想像できないほどスケールが大きい(とてつもなくお金もちということ)。タイで富裕層の子弟が乗るような高級コンパクトカーとしてはBMWミニなども正規輸入販売されているが、それと同額レベルとなっても、日本の軽自動車に乗りたいというニーズが存在するのである。消費者の価値観が多様化するなか、既存の各メーカーのラインアップでは飽き足らず(誰も乗っていないようなクルマに乗りたい)、「金に糸目をつけずに他人と差を付けたい」というニーズが、おもに新興国となるが、形成されようとしているのである。

 日本で軽自動車といえば、節約志向の高いひとや、年金生活となり維持費を抑えたいなど、まさに「日常生活の足」的イメージが強いのだが、どうも東南アジアで見ていると、客筋も明らかに日本と異なるし、そもそも軽自動車に求めている部分も大きく異なるように見える。

 ボディサイズは極端に小さく、排気量も660ccなのに、ADAS(安全運転支援装置)やオートエアコンが装備され、CVT(自動変速機)となるだけではなく、4輪駆動まで選ぶことができる。

 そしてジャパンメイドというプレミアムイメージに十分な質感も兼ね備えている。市場としては日本に比べると限定的かもしれないが、「日本的クルマ作りの真骨頂」ともいうべき日本の軽自動車は、けっして他国の自動車メーカーには真似することができないものであり、そこに世界が注目しはじめ、高付加価値があることを感じているのである。

 これは日本を訪れたインバウンド(訪日外国人観光客)が実際に日本で軽自動車を見て、それをSNSなどで発信する機会が多くなったことも影響しているのではないかと考えている。

 もちろん現状では、軽自動車が正規販売されている日本以外の地域はほとんど存在しない。大々的に海外で正規販売するとなると、越えなければならない課題も大きいようなのだ。いまはスズキが熱心にマイルドハイブリッドユニットを搭載しているが、今後BEV(バッテリー電気自動車)などが充実すれば、ますます注目されることは間違いないだろう。

 スズキのいうところの「軽自動車のグローバル化」というものがどういうものなのか、今後の展開がおおいに気になってしまった。日本車にとっての「最終兵器」のような存在となり、新たな日本車旋風を世界に巻き起こす可能性を軽自動車は秘めているように感じている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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