なんでSA・PAのガソリンは高い? 隣同士のSAで価格差が10円以上もあるけどナゼ? 高速道路のガソリン価格の謎 (2/2ページ)

競合店の有無が大きく影響

<価格統制の廃止と市場原理の影響>

 高速道路のガソリン価格に関して重要な転換点となったのが、2008年の価格統制の廃止である。それまでは、前月の全国平均価格を翌月に適用するという上限制度が存在していた。しかし、2006年の原油価格暴騰時に、SAのスタンドが一般店より安価になる事態が発生し、給油を目的としたクルマで渋滞が起きたことをきっかけに、この制度は廃止された。

 よって現在は、各スタンドが自主的に価格を設定している。高速道路内は競合の店舗が少ないため、価格競争が起きにくい。そのため、一度価格が上昇すると、ほかのスタンドも追随して値上げをおこない、結果として全体的な価格水準が上昇する傾向にある。

<隣接するSA間の価格差の謎>

 では、高速道路上で隣接するSA同士でも、大きな価格差が生じることがあるが、それはなぜだろうか? これは、各スタンドの経営戦略や地域性、さらには競争状況などが複雑に絡み合った結果といえる。

 たとえば、都市部に近いSA・PAでは、一般道のガソリンスタンドとの競争を意識し、価格を抑える傾向がある。高速で給油する前に一般道で給油しておこうというドライバーを抑制するためだ。一方、都市部から離れたSAでは、代替手段が少ないことを背景に、比較的高い価格設定が可能となっている。

 また、各スタンドの仕入れ状況や在庫量によっても価格差が生じる。大量仕入れによるコスト削減や、在庫過多による値下げなど、個々のスタンドの事情が価格に反映されることがある。

 さらに、高速道路の交通量や利用者の特性も価格差の要因となる。観光地に近いSAでは、一度きりの利用者が多いため、比較的高い価格設定が可能である一方、常連の多いSAでは価格競争力を維持する必要がある。

 このように高速道路のガソリン価格は、単純な市場原理だけでなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って決定されている。ドライバーとしては、長距離走行のときには事前に給油をしておくことや、価格比較アプリを活用して安価なSAを選ぶなどの対策が有効だろう。

 とはいえ、「利用せざるを得ない」こともままあると思う。街なかのガソリンスタンドと同じくらいの価格であれば、ドライバーにとって、より安心感が強くなると思うのは筆者だけではないだろう。


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