ガソリンが高いからディーゼル! それならいっそ「軽油」よりも安い「灯油」を入れたらどうなる?

この記事をまとめると

■ガソリン価格の上昇が止まらない

■灯油の価格はクルマ用の燃料に比べて安価だ

■灯油と軽油は似た性質があるがクルマに使用すると違法となる

環境汚染にエンジン性能の低下も考えられる

 このところ為替がやや円高傾向となり、レギュラーガソリンは1リットル当たり177.2円(2/28全国平均)という状況だが、プレミアムガソリン(ハイオク)は、192.4円と、200円に近い。ディーゼルエンジン用の軽油は、1リットル当たり155.0円で、エンジン車に乗るならディーゼルという人もいるだろう。

 そうしたなか、石油ストーブなどで使う灯油は、18リットルで2080~2377円(1/6現在、沖縄を除く)で、平均2200円ほどとなり、1リットルあたりに換算すると122円になる。同じ燃料であるなら、灯油でクルマが走らないかと考える人もいるかもしれない。

 しかし、クルマの燃料と暖房用として石油ストーブなどで使う灯油があえて分けて売られているのだから、エンジンに使うことが適切でないのはいうまでもない。適切でないという背景には、エンジンや部品を壊してしまう懸念もあるという深刻な内容も含む。

 とはいえ、じつのことをいうと、ディーゼルエンジンで使う軽油と灯油は、燃料としての特性に近いものがある。なので、灯油を使ってもエンジンがかからないことはないかもしれない。そのためか、軽油に灯油を混ぜて使う不正軽油の犯罪が行われる場合がある。

 しかしそれは、まさしく違法行為であるばかりでなく、排出ガスの有害物質の量を増やし、大気汚染を促す結果にもなる。エンジンの性能としても、始動が悪くなったり、出力が不足したりすることになるのはいうまでもない。

 一方で、灯油にまつわる話として、航空燃料として使われるケロシンは、灯油と関係がある。それでもケロシンは、上空高い高度で使われるので、水分を抑えているのが特徴とのこと。日本のロケットは、液体水素を燃料としているが、海外ではケロシンをロケット燃料にしているところもある。

 燃料を燃やして出力を得ることは同じでも、用途によって目的が違うので、専用に供給される燃料を使うことが前提だ。それが結果的に、一時的な安さに踊らされることなく、長い目で見たときにエンジンを壊すことなく、燃費や性能を保証し、修理代の負担が生じず安上がりで快適ということにつながるだろう。

 それでもなんとか燃料代を減らしたいのであれば、エンジン車ならハイブリッド車へ乗り換えるとか、思い切って電気自動車(EV)に切り替えることも選択肢に入ってくるかもしれない。しかもEVなら、いまより小型車になったり軽自動車にしたりしても、快適性や加速性能は、いま乗っているエンジン車と遜色ない可能性もあるのだ。


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御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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乗馬、読書
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