この記事をまとめると
■三菱ミラージュにはホットモデルの「サイボーグ」と「RS」がラインアップされていた
■モータースポーツのベースモデルだった「RS」は専用ダクトやマフラーなどを装備する
■RSはモータースポーツベース車グレードだったため現存する数が少ない
可変バルタイ「MIVEC」エンジン搭載のホットハッチ
三菱のミラージュというと、2023年に日本向けの生産・販売を終了したコンパクトなエントリーモデルのハッチバックモデルが現時点では最終型となっており、手ごろな価格の実用モデルという印象があるかもしれない。
しかし、1990年代に存在していた過去のミラージュは、実用的なコンパクトカーでありながらもホットなモータースポーツベース車などもラインアップする硬派なモデルとなっていたのだ。
そんな1990年代のミラージュの最後を飾ったのが1995年に登場した5代目モデルで、ホットモデルとしては「サイボーグ」と、モータースポーツベースの「RS」が用意されていた。
ミラージュの「サイボーグ」と「RS」を忘れてないか画像はこちら
1990年代のテンロクホットモデルというとシビックが代表的なモデルとなっているが、サイボーグも1.6リッターの排気量をもつ4G92型エンジンを搭載。こちらも可変バルブタイミングリフト機構であるMIVECを採用し、最高出力はNAながら175馬力を発生する高回転型エンジンとなっている。
三菱ミラージュ・サイボーグのエンジン画像はこちら
サイボーグは街乗りもできるように快適装備も備えたスポーツグレードという扱いとなっていたが、モータースポーツベースのRSにはサイボーグに加えて多くの専用装備が与えられていた。
エンジンは最高出力こそサイボーグと不変であるものの、吸気バルブには軽量なチタン合金製を採用し、カムシャフトも高回転型のカムプロフィールをもったものを装着。吸気抵抗を30%低減するストレート吸気ダクトや大径ステンレス製エキゾーストマニホールド、低背圧マフラーを備えた。
さらに水冷式オイルクーラーや軽量フライホイール、2~5速までをクロスレシオ化した専用ギヤ比を採用し、トランスミッションアウトプットシャフトやクラッチの各部材も強化されている。
三菱ミラージュRS(5代目)のフロントスタイリング画像はこちら
そしてジムカーナやダートトライアルなどに供されることも多かったミラージュだけに、クイックなギヤ比のステアリングレシオや専用流量特性をもつパワステオイルポンプ、パワステオイルクーラーなどを採用し、高旋回Gが発生したときに燃料が吸えなくなることを防止するために、燃料タンクのリザーバーカップ形状も専用のものに変更されていた。
このように派手さはないものの、モータースポーツベース車としてマジメに改良がなされていたのがミラージュRSの最大の魅力となっていたが、ガチガチのモータースポーツベース車であるが故にキッチリモータースポーツで酷使された個体が多く、現存するものが少ないというのが残念なところかもしれない。