常に時代の最先端をいくデザイン力
●EVの特徴を生かしたパッケージにも対応
そして、2011年には新世代のスポーツカー像としてコンセプトカーC-X16を発表。これをベースに「50年ぶりのピュアスポーツ」を謳ったのがFタイプ(初代)です。コンバーチブルの爽やかさもさることながら、ロングノーズや美しいルーフラインとベルトラインの組み合わせ、リヤの圧倒的なボリューム感によるクーペのプロポーションはパーフェクトで、まさに氏の真骨頂といえます。
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最後に紹介するのは、ジャガーを退任する2019年に発表されたIペースです。最新のEVとしてショートノーズと超ロングホイールベース、キャビンフォワードという従前とはまったく異なるプロポーションにまず驚き。さらに全高1565mmのSUV的なボディが、ウエッジシェイプとスリムなキャビン、サイドシル部のプロテクターなどにより実に軽快に見える点も見所です。
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さて、こうして氏の仕事を振り返ってみると、旧い価値観を一掃するモダンな独自性と、万人に美しさを感じさせる普遍的な美的感性、圧倒的なバランス感覚に感心させられます。
その個性はアストンマーティンとジャガーの一時代を構築しましたが、たとえば日本のメーカーのディレクターを手掛けたらどんなスタイリングを生み出したか? そんな贅沢な想像も掻き立てられるところです。