ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの? (2/2ページ)

リコールの放置によって車検に通らない場合も

 また、リコールについては「メーカーが悪いのだからユーザーには関係ない」という見方もあるようだが、それは誤解だ。

 前述したように、リコールが発生するということは、そのクルマは保安基準を満たしていない可能性が高いといえる。日本の車検制度というのは検査時に保安基準に合致しているかを確認する制度ともいえ、日本の公道を走るには保安基準を満たした状態であることが求められている。リコールの案内を放っておくことはNGだ。

 なぜなら、道路運送車両法により、ユーザーは自分のクルマが保安基準を満たすように維持する義務があるからだ。リコールを受けることも、またユーザーの義務といえる。

 ただし、リコールを実施していないからといって必ずしも車検に通らないわけでもない。リコールのなかには、すでに保安基準を満たさないケースと、将来的に適合しなくなるケースがある。後者であればリコール未実施でも現状、保安基準を満たしていることもあるからだ。なお、一部の重大なリコールについては未改修では車検を通さないという措置を取っているケースもある。

 ちなみに、自動車メーカーの設計・製造に由来する不具合は、保安基準に規定されていない部分で起きることもある。その場合でも、安全や環境性能に無視できない影響がある場合は『改善対策』と呼ばれる改善措置を行うという制度になっている。さらに、リコールや改善対策に該当しない不具合の改善措置は『サービスキャンペーン』と呼ばれている。

 ところで、リコールなどにつながる不具合について、メーカー自身が発見することもあるが、やはり実際に使っているユーザーからの指摘も重要だ。国土交通省では、そうしたユーザーの声を集めるべく『自動車不具合情報ホットライン』を準備している。

「リコール案件では?」と思うような不具合を感じたならば、迅速に不具合情報を伝えるのも、ユーザーの務めといえるだろう。


この記事の画像ギャラリー

山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報