手間暇たっぷりかかった純正状態の維持やレストア
●フルノーマルにこだわったレストア事業
次に紹介するのは、北九州市のM:CRAFTが手がけたスズキの初代カルタスです。「オレ・タチ、カルタス」のCMが有名なコンパクトカーですが、展示車はのちに追加されたスポーティグレードのGT-iで、とにかくピカピカのボディが印象的。
「もともとは半導体のメッキなどを手がけていましたが、会長がクルマ好きだったこともあり、7年ほど前からレストア事業を始めたんです」と話してくれたのは、トータルリペア エム:クラフト代表の冨岡正浩さん。
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その会長の主義に伴い、同社はノーマル車としてのレストアが基本。展示のカルタスも、昨年ブースに来訪したオーナーが「ここなら」ともち込んだそう。
「もともとボディ色は白だったのを当時純正の別色に再塗装。痛んだモール類は他社の軽自動車用などを流用、シートは生地店で近い柄を見つけて張り替えました。ウインカーなどレンズ類は裏から塗装することで再生しています」。
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機関パーツでは、ガスケットなど一部は海外から取り寄せたほか、止め金具類はメッキ会社らしく新品同様に再生。徹底したレストアは1年に及んだといいます。
「じつは今日オーナーさんが来ていて、イベントが終わったらこのまま乗って帰ることになっているんですよ(笑)」。
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●大切に保管された奇跡の1台
最後に紹介するのは、珍しくメーカーとして出展しているマツダブースから、2代目RX-7(FC3S型)です。同社のレストア事業としてはロードスターが有名なので、「なぜFCが?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
2代目マツダRX-7(FC3S型)のフロントスタイリング画像はこちら
「車庫保管、走行1万7000キロという個体を入手したオーナーさんが手放すという話があったんです」と話をしてくれたのは、同社国内商品マーケティング部 商品広報チーム シニアエキスパートの田中秀昭さん。
奇跡的な個体を手に入れたものの、オーナーがアメリカ在住時に憧れていたマーキュリー・コメットを新たに入手。4年間、自身のカフェに飾っていたFCを手放すことに。ただ、あまりの程度のよさもあってマツダに相談があったそう。
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「広島のミュージアムには後期型のカブリオレはあるのですが、前期型のクーペはなく、ずっと探していたんです」と快く譲り受けたマツダ。車体の裏側までピカピカで、会場近くの同社研究所からの自走も避けたというから驚き。おそらく、ミュージアムにもこのままの状態で展示されるだろうとのことです。
2代目マツダRX-7(FC3S型)のインテリア画像はこちら
さて、今回は派手な展示車のなかであえてフルノーマルなハチマルを選んでみました。同時期のクルマは「手を入れる」ことが前提のような風潮もありますが、こういう希少なクルマも大切にしたいものです。