この記事をまとめると
■第32回東京モーターショーで日産が展示したコンセプトカー「トレイルランナー」
■オフロード走行を可能にした近未来のクーペタイプのクロスオーバーSUVモデルだった
■SRエンジンの搭載やITSシステムの搭載など市販化もできそうなパッケージングだった
28年前の東京モーターショーで公開されていた日産のスポーツSUV
クロスオーバーSUVの人気が非常に高い現在では、クーペタイプやスポーティなクロスオーバーSUVも珍しくなくなっているが、いまのブームがやってくるよりもはるか昔の1997年に、時代を先取りしたスポーツクロスオーバーSUVのコンセプトモデルが存在していた。
それが第57回フランクフルトモーターショーや第32回東京モーターショーで日産が展示した「トレイルランナー」というモデルで、オフロードも走れる、近未来的なスタイルのスペシャリティクーペがコンセプトとなっていた。
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このトレイルランナーは、伸びやかな直線で表現されたウェッジラインと大型リヤスポイラーを備えるダイナミックで引き締まったクーペボディに、最低地上高200mmと高められた車高と205/55R18という大径タイヤ、そして日産自慢のアテーサ4WDシステムを組み合わせたもので、ほかのクルマにはない独特な存在感を放つものとなっていた。
ちなみに大型リヤスポイラーはルーフキャリアとしての機能も有しており、スキー板などの長尺物を搭載することもできるようになっていたのはSUVらしいところ。
日産トレイルランナーの大型リヤウイング画像はこちら
一方のインテリアには、運転席と助手席をそれぞれM字型のラインで囲み、ヒューマンマシンインターフェースに基づいた操作性、視認性に優れた近未来機能美を表現したインストルメントパネルを備え、イエローとグレーの2トーンカラーでスポーティさと若々しさを表現していた。
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そんなトレイルランナーはいかにもコンセプトカー的ないで立ちでありながら、パワートレインには当時のブルーバードやプリメーラなどに搭載されていた190馬力を発生するNEO VVL採用のSR20VE型エンジンと、ハイパーCVT M6を搭載し、サスペンションは4輪独立のストラット式とアナウンスするなど、じつは現実的なスペックを擁していたのだ。
また、ナビゲーションには当時の日産が導入していた立体バードビューのほか、VICSや情報提供サービスといったITS(高度道路交通システム)技術を搭載していたのもトピックで、突飛な見た目に反してかなり考えられたモデルとなっていたのである。
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残念ながらこのトレイルランナーは市販されることはなかったが、時代をかなり先どっていたモデルであることは間違いなく、当時のコンセプトモデル開発陣はいち早くクロスオーバーSUVブームが来る未来を予見していたのかもしれない。