
この記事をまとめると
■昔から存在していた自動車メーカーが中国企業による買収などで様変わりしている
■買収されたことにより昔のイメージとかけ離れたクルマが展開されている例も珍しくない
■従来の方向性とは違うクルマを展開して話題となっているメーカーもある
聞けば懐かしいあのメーカーのいま
ちょっと前に中古のアンプを購入した際のこと、販売員さんが「このモデルは中国資本になる前の製品です」とニンマリして、クルマだけではないんだな、といくらか興ざめしました。
アンプもクルマも時代とともに進化していくのはもちろんですが、ブランド価値は別の歩みをすることもあります。創業当時の晴れ晴れとした姿に憧れていたのに、他社に買収などされたおかげで、いまでは見る影もなくなってしまった。アンプはともかく、そんなケースがクルマの世界ではいくつもありそうです。
MG
団塊の世代には憧れの的だったスポーツカーメーカーですが、2005年ごろでしょうか、MG-TFというオープン2シーターを最後に、日本からはいなくなってしまいました。それどころか、会社そのものが経営破綻し、中国の南京汽車傘下となり、英国ブランドの灯は見事に消え去ってしまいました。
創業から全盛期までは、MGA、MGB、あるいはミジェットなど、日本でもお馴染みのモデルがいくつもあり、またいずれも小気味のいいライトウェイトスポーツカーとして大人気を誇ったものです。さらに、団塊以降となると、ローバーのV8エンジンを搭載したMG-RV8や、上述の2シーターオープン、ハイドロサスを採用したMGFといったモデルにもいい印象を抱かれるはず。
現在のMGに見る影はない、といったら失礼かもしれませんが、南京から上海汽車へとオーナーが変わり、タイやインドなどの新興国市場を開拓するためSUVやEVなどの新たなカテゴリーに進出しているとのこと。といわれても、旧MGファンが納得するはずもありません。MGメトロのグループBマシンとか、ああいうクルマは2度と出てこないでしょうからね。
ジャガー
サー・ウィリアムズ・ライオンによる創業から、ジョン・イーガンに至る黄金期はここで語るべくもない輝ける英国自動車メーカーの足跡にほかなりません。が、1989年にフォード傘下となったあたりからキナ臭くなりました。なにしろ、XJ-40のあとに出てきたのがリンカーンを流用したSタイプですからね。当時は出来の悪いそっくりさん呼ばわりされていました。Xタイプもサイズ的には国内市場で歓迎されたようですが、後席の狭さや熟成不足なエンジニアリングのせいで黄金期の名声は急降下。
もっとも、フォードからインドのタタグループに売却されたあとは、FタイプやXJ(X351)といった正統進化的なモデルが登場。また、FペイスやEペイスなど時代に合わせてSUVやEVをリリースするなど攻勢に転じる姿もありました。が、健闘空しくなのか、クルマが不出来だったのか、古のジャガー帝国を思わせるような売上げには程遠かった模様。
今後はEVメーカーとして再出発すると意気込み、最初にタイプ00なる昔日のEタイプをオマージュしたとされるモデルで「電気自動車の高級ブランドへの台頭に備える」とのこと。ですが、ジャガーファンでなくとも、期待がぬか喜びにならないのを祈るのみです。