こんなデカくてスマートだと? スパルタンスポーツはどこへ!? 資本が変わって「らしさ」がどこかへ行っちゃった悲しき自動車ブランド4選 (2/2ページ)

元のDNAは一体どこに……

ロータス

 MGやジャガーと違って、昔日の栄光を継承している好例。もっとも、コーリン・チャップマンというカリスマ性にあふれる創業者が築いたブランドから見れば、その牽引力は低下こそしなくとも、変化したことは確かでしょう。

 創業当初は、徹底的な軽量化に加え、分不相応とさえいえる強力なエンジン、そして熟成を重ねたシャシーの完成度など、チャップマンのキャラクター全開だったかと。エランやヨーロッパ、はたまたエスプリなどいまでも熱狂的なファンが多数存在しています。

 しかし、1982年にチャップマンが急逝したことから経営状況は悪化の一途をたどり、1986年にはGM傘下、1993年は新ブガッティを興したロマノ・アルティオリが買収、次いで1996年になるとマレーシアのプロトンと目まぐるしくオーナーが変わっています。現在のところは、2017年に株式の50%を取得した中国の吉利汽車が実質的なオーナーです。

 もっとも、歴代オーナーはロータスというブランドで金儲けしようと考えただけでなく、きちんとリスペクトもしていた気がします。でなければ、エリーゼに始まる現代ロータスに数々の名作は生まれなかったはず。このあたり、MGやジャガーと違って、チャップマンのDNAがやたらと濃かったからではないでしょうか。

スマート

 時計メーカーだったスウォッチが、メルセデス・ベンツと共同で作った自動車メーカー。スマート・フォーツーやスマート・クーペなどじつに出来のいいマイクロカーをリリースしていたのですが、信じられないことに1994年の創業(フォーツーの発売は1995年)から10年近くは赤字だったそうです。さすがだと感じるのは、いいだしっぺのスマートが1997年には収益不足を理由に撤退すると、メルセデス・ベンツは株式の81%を取得して事実上のオーナーになったこと。

 このあたりまでは初志貫徹で、スマートファンを喜ばせたかと思いますが、中国の浙江吉利控股集団と合弁会社を作ったあたりから風向きが変わります。2019年には完全EVブランドになると発表したり、PHEVのSUVを作ったりと、スマートの名前をつけりゃいいってもんじゃない! などと評判は急降下。

 それでも最新モデルとなる#5は中国でなかなかの評判。ターボチャージャー付き1.5リッター4気筒ガソリンエンジンと電子制御デュアル・ハイブリッド・トランスミッション(E-DHT)に、電気モーターを組み合わせ平均燃費は31.5km/L、総航続距離は1400kmと、高い商品性が与えられています。

 が、スマート史上最大のボディを見ると、にわかにはスマートだとは信じがたいものがあります。メルセデス・ベンツも三菱とフォーフォーなんてモデルを出して懲りたと思ったのに、中国資本の自由奔放さには驚かされっぱなし(笑)。これこそ、昔日の面影今いずこと、頭を抱えずにはいられません。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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