高いのは確かだけどフェラーリにしてはお買い得! 見た目も走りも文句ナシの「599」はフェラーリのV12デビューにもってこいのモデルだった (2/2ページ)

現代のモデルへと続くフェラーリの可能性を模索した

 599の基本構造体は、アルミニウム製のスペースフレームだ。ホイールベースは2+2GTの612スカリエッティより200mmも短いが、ボディの全長4665mmと、599の前身である575Mマラネロよりも115mm長い設定だ。車重は乾燥重量で1690mm、ちなみにこれは現在ではもはやどのモデルにも設定されなくなった6速MT仕様の数字で、これも575Mマラネロと比較すると40kgほど軽量だ。

 599の誕生で、もっとも大きなインパクトを与えてくれたのは、おそらくはそれに搭載されるエンジンだったのではないだろうか。それはあのエンツォ・フェラーリに搭載されたものをベースとしたV型12気筒エンジンで、最高出力は620馬力を発揮。参考までにその型式はF140C型、エンツォのそれはF140B型である。

 ミッションは6速MTが組み合わされることは前で触れたが、ほかに2ペダルの6速F1スーパーファストが存在する。サスペンションに磁気粘性流体ダンパーを採用したことやカーボンセラミックブレーキのオプション設定も見逃せない特徴だった。

 この599には発表後もさまざまなバリエーションが追加設定されていく。2009年にはHGTE(ハンドリング・グラントゥーリズモ・エボルツィオーネ)の設定が始まるが、これはよりハンドリング特性を向上させるためのアップグレードパッケージ。専用のサスペンション・パッケージやタイヤ、20インチ径ホイール、エンジン・ソフトウェア、エキゾーストシステムなどがそのおもな内容だ。

 また、2010年にはサーキット専用モデルとして、同じ2009年に発表されていた730馬力仕様の599XXから、さまざまなテクノロジーを継承したロード仕様の599GTOも誕生。それはフィオラノ・サーキットをエンツォ・フェラーリよりも1秒も早く駆け抜ける運動性能を誇るモデルで、また車重もスタンダードな599よりも約100kg軽量。限定で599台が生産された。

 また、599XXには2011年にその正常進化を目的としたアップデートパッケージ、エボリューションの提供も行われている。

 599シリーズでは、ほかにもピニンファリーナの創業80周年を記念したオープン仕様のSAアペルタ(エンジンは599GTOのそれを使用)。あるいはF1での初勝利から60周年を記念した60F1などの特別仕様車、そして数々のワンオフモデルも生まれている。さらにはハイブリッド実験車のHY-KERSなど、599はまさに現在のフェラーリ社におけるビジネスモデルの基本を模索し、進化を続けたモデル。まさに注目のシリーズなのである。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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