日本のほとんどの道は何もしないで走れる! 「マッド」「サンド」「スノー」など4WDの多彩なドライブモードはいつ使う? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■4WDのドライブモードが切り替えているのはESC(横滑り防止装置)の制御度合い

■さまざまな路面に応じた制御をドライバーが選ぶことで安定して走ることができる

■非常に滑りやすい路面を走る際には電子制御をオフにするのも有効的な手段のひとつ

ドライブモードに応じてESCの度合いを調整している

 エンジン、ハイブリッド、ピュアEVなどなどさまざまなパワートレインを選ぶことができる現在だが、パワートレインのキャラクターをユーザーが選ぶのは購入時だけではない。

 最近のクルマにはいろいろなドライブモードが設定されており、状況に応じて適切なモードを選択する必要もある。

 街乗りメインのコンパクトカーでもスポーツモードが設定されていることは珍しくないし、SUVタイプの4WDともなれば多彩なドライブモードが設定されていることは多い。燃費や電費にやさしい運転に向いているエコモードを非常に多くのクルマで選ぶことができるのは、ご存じのとおりだ。

 たとえば、三菱のピックアップトラック「トライトン」には、ノーマル/エコ/グラベル(砂利道)/スノー(雪)/マッド(泥)/サンド(砂)/ロック(岩)と7つのモードが用意されている。エコモードは2輪駆動時にしか選べなかったり、ロックモードは4駆のローギヤでしか使えなかったりするので迷うことはないのかもしれないが、このように複数のドライブモードを設定する理由はなんだろうか。

 アクセル操作に対してマイルドな特性にするエコモードは別として、多彩なドライブモードを設定できる背景には、いまどきのクルマにはESC(横滑り防止装置)が義務化されていることが挙げられる。

 ESCの機能は車両を安定させることで、技術的にはパワートレインの出力とブレーキの4輪独立制御によって行っているのが基本だ。滑りやすい路面で4輪ともスリップするときには出力を絞ってやるし、1輪だけタイヤが滑ったときには、そこだけブレーキをかけることでグリップを回復させることもある。

 こうした制御を瞬時に行うことで車両姿勢をできるだけ乱さず、アクシデントを可能な限り避けようというのがESCの役割といえる。つまり、タイヤのグリップを路面や運転に応じて最大限に引き出す電子制御だと理解できる。

 しかしながら、そもそも論として電子制御によって常にタイヤグリップを最適化できるのであれば、複数のドライブモードを設定する必要はないと思ってしまうかもしれない。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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