AE86の「新品ボディ」が売ってる!? 40ランクルのシャシーもある謎の中国通販 (2/2ページ)

技術流出によって安価にコピー製品が出まわる

 もっとも、何年も前から日本のテクノロジーや優秀な技術者、あるいはノウハウ、パテントといったものが合法非合法にかかわらず中国に渡っているのは周知の事実。一説によれば、日本国内で使われなくなったボディの金型が中国に輸出されているとか、定年で引退したエンジニアが高額なサラリーでリクルートされたとか、技術の流出はもはや歯止めが利かない状態とされています。

 すると、現役から退いて数十年たったクルマの金型、あるいはそのレプリカが中国の工場でちゃっかり使われていたとしても不思議ではありません。現にこちらの工場は86だけでなく40系ランドクルーザーやディフェンダー110のフルボディなどなど、いくつもの商品をラインアップしており、声高に技術の高さを売りにしているのですから。

 しかしながら、金型や接合に関するノウハウがあったとて、それらを活かす工業機械やソフトが貧弱ならば仕上がりもペラっペラのフニャフニャになりかねないはず。ですが、いまや工業機械そのものを作る技術や工場も引退した日本の技術者などによって「万全の態勢」。むしろ、日本製より能力はいくらか劣るとしても値段は10分の1なんてことだってざらにあります。

 安くてそこそこ能力のある機械でもって、これまた安く仕入れたそこそこの高張力鋼板を、人件費の安い地方でバンバン作る、となったらフルモノコック9000ドルというのも悔しいけれど納得です。

 無論、コピー商品を購入するのはご法度ではありますが、この点だけクリアできれば「ほしい」と思う方も少なくないでしょう。一般道はともかく、サーキットなど限定的な使い方であればおそらく不満が生じるものでもないはず。

 当然、溶接の仕上がりや寸法などきめ細かくチェックすべきでしょうが、それは中古の86を手に入れたとしても同様かと。むしろ、ベアシャシーになっているぶんだけ、作業がしやすくもなるというもの。あとは、トヨタの法務部あたりが「ちょっとお話が」と近寄ってこないことを祈るのみ(笑)。

 ともあれ、すべては日本の技術や知恵が流出した末の笑えない話にほかなりません。単なるコピー商品かと、口を歪めているだけでは我が国の未来は絶望が待つのみです。どげんかせんとならん! とは、まさにこういうことをいうのではないでしょうか。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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