この記事をまとめると
■グリーンスローモビリティは小さな乗合バス
■地域住民の足として期待されている
■住友三井オートサービスの担当者に話を聞いた
住友三井オートリースはグリスロの開発に注力
グリーンスローモビリティ(通称グリスロ)と呼ばれる、小さな乗合バスをご存じだろうか。これはコミュニティバスとは異なる、より小さくてゆっくりと走る、地域住民の足として期待されている乗り物である。
このグリスロ、ゆっくりと走るEVバスなので環境に優しい(というイメージ)、お年寄りに優しいとして、全国の自治体で導入が進んでいる。しかしこれまで導入されてきたグリスロには色々課題もあった。
それは全面窓で眺めがよく、座席ごとにドアが設けられているので乗降性が高いのはいいのだが、夏はとにかく暑くて乗っているのが大変だ、ということ。
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「エアコンの導入は色々な地域の利用者から多く要望で寄せられていました」と語るのはタジマモーターの説明員。ジャパンモビリティショービズウィーク2024の住友三井オートサービスブースでのことだ。
従来、納入してきたグリスロ車両は、海外から輸入したものを日本の保安基準などに合わせて改善してきたが、新型車両は国内で設計、生産されているそうだ。
「おかげでタジマモーターの工場が、すっかりグリスロの生産工場のようになってしまいました」と語る。
従来車両よりもフロアを低床として高齢者の乗降性をさらに高めながら、シャシーの剛性を確保するのは、なかなか大変だったようだ。しかも価格は800万円と、内容を考えればなかなかリーズナブルに抑えられている印象だった。
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住友三井オートサービスは既存のカーリース業にとらわれずに、さまざまな自動車関連ビジネスに業務を拡大する計画のようだ。このグリスロやコミュニティバスなどもリースや運営システムの提供なども含めたサポートまでを商品としているようだ。
コミュニティバスとグリスロの中間的な存在として、自動運転バスの実証実験も進められている。こちらも欧州の自動運転EVバスを商品として扱っているらしい。もっとも自動運転の運営は専門のベンチャー企業などに任せている。それらをワンパッケージでリース商品として供給できるのは、自治体などで自動運転バスを導入したいと考えているところにとっては、ちょうどいいサービスといえるのではないだろうか。
せっかくグリスロや自動運転バスを実証実験で導入しても、利用者があまりいないエリアやルートでは、乗客が増えずデータの取得も不十分で、導入による効果も検証するのが難しくなる。そして、実証実験が終わっても本格導入されなければ、結局地域住民にとっては一時的な移動手段でしかなく、終了されれば使えなくなるのであればアテにできないものだ。
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1日に数便、複数ルートを使いまわすので使えるのは週に1度などという実証実験ではなく、本格導入して、地域を活性化させるための原動力にするくらいの意気込みでなければ、なかなか定着しそうにないのではないだろうか。
高齢者に運転免許の返納を促す一方で、移動手段を提供できなければ、交通弱者は引きこもっていろといっているのと同じことになる。課題は多いが、自治体はもう少しそのあたりを深く考えてほしい。