
この記事をまとめると
■スマートエネルギーWEEKのFC EXPOにて気になる燃料電池の電動アシスト自転車を発見
■水素充填機、電動アシスト自転車、ボンベが並べられていた
■中国発の燃料電池の電動アシスト自転車について解説する
中国ではすでにシェアサイクルとして普及
電動アシスト自転車を発明したのは日本のヤマハ発動機だが、いまや世界中にこのモビリティは広まり、さらに独自の進化を遂げている。
ファットバイクに電動モーターを組み込んで電動アシストだけでなく、モーターだけで走行できるフル電動自転車(関西ではアクセルをひねるだけで走れるので「ひねチャ」と呼ばれるらしい)も登場し、未登録ノーヘルで乗りまわす問題行動が話題になっていたりもする。その一方で、電動アシスト機構はそのままに、バッテリーではなく燃料電池を搭載した機種まで登場している。これはちょっと驚きだ!
東京ビッグサイトで開催された業者向けの展示会、スマートエネルギーWEEK内のFC EXPOでのこと。中国のシェアサイクル業者とそこに供給しているメーカーがそれぞれブースを出展、水素充填機とボンベ、電動アシスト自転車数種類を並べていた。
小径の折り畳み自転車やクロスバイクに細いボンベを取り付けるだけで、ボンベ内の水素を放出させて燃料電池スタックへと送り、空気中の酸素と反応させて水蒸気を作ると同時に電気を取り出す、そんな仕組みが自転車にも組み込まれるようになったことは驚きだ。
ボンベのなかには水素吸蔵合金が入っていて、自分の質量以上の水素を溜め込むことができる。FCEVのトヨタMIRAIのように高圧ボンベでは自転車にはちょっと危険だが、圧力のほとんどない水素吸蔵合金なら取り扱いは極めて簡単で安全だ。
1回のボンベ充填でアシストできる走行距離は45kmくらいだというが、ボンベを交換するだけですぐに走行できるのであれば十分な能力だ。自宅に段ボール箱くらいの水素充填機を置けるスペースがあれば、電源と水をセットするだけでボンベに水素を充填してくれるから、スペアのボンベがあれば常に充填済みの状態をキープできる。
取材時には水素充填機と電動アシスト自転車、ボンベが展示されていたが、この1セットで価格はおよそ60万円。電動アシスト自転車のおよそ3倍だが、従来の電動アシスト自転車では定期的に必要になるバッテリー代を考えると、それほど高くないのでは、とも思わされてしまう。
これが普及すれば、さまざまな電力駆動の製品は、バッテリーから燃料電池へと置き換えることも可能になる。アウトドアでの家電製品利用や、ガスボンベとしても利用できることが想定される。
すでに中国の上海では、この燃料電池を使った電動アシスト自転車がシェアサイクルとして普及しているそうだ。バッテリーを使った電動アシストと比べると、シェアサイクルはボンベを交換していくだけで使い続けられるのはメリットなのだろう。
しかし、もともとの電動アシスト自転車がしっかりした作りで、定期的にメンテナンスをしなければ、次々に不具合のあるシェアサイクルばかりになって、利用客がいなくなってしまう。これまで何度もシェアサイクル業者が廃業しているお国柄だけに、そのあたりのサポートもしっかりやったほうがいいだろう。