
この記事をまとめると
■スズキが「第16回国際物流総合展」に出展
■電動モビリティベースユニットの展示を行った
■各社が開発を進める移動ロボットを紹介
さまざまな場面で活躍!
スズキは、誰もが知る日本のカー&バイクメーカー。とくに軽四輪車は人気車種を多数輩出し、軽自動車の販売台数では現在日本のトップ。また、ほかのカーメーカーと同様に、周辺事業を始めとする事業の多角化にも熱心で、新たな技術やサービスを開発し、プロフィット化の道を模索しているのだろう。
その一環として、2024年9月に東京ビッグサイトで開催された「第16回国際物流総合展」では、「電動モビリティベースユニット」の展示を行っていた。
このユニットは、もともと同社が製造していた電動車いすの技術をベースにしたもの。電動車いすは障害をもつ人が、安全かつ安心して乗車できる乗り物として開発されたため、公道などで想定できるさまざまな障害物を克服できる能力をもっている。ベースユニットなので、何も架装をしていない状態では、パワーユニットを載せたシャシーのような愛想のない形状である。
ベースユニットは、長さ920mm・幅600mm・高さ400mmなので比較的コンパクト。重量は89kgだ。100kgを搭載したときの登坂角度は、約8度である。リチウムバッテリーを利用した左右独立2モーターを使用し、満充電時の連続走行距離は約30kgに及ぶ。自動車品質の塗装をしているので、防錆、防水、防塵能力が高い。不整地、泥道、農地といったところでも、スムースに走ることができるなど悪路走破性が高いことに加えて、乗用車を引くことができるような強い牽引力をもつ。
プログラミングによる自律走行だけではなく、有線による追尾走行やリモコンによる走行といったことが可能だから、架装次第でさまざまな展開が可能なのだ。実験・実用化されている用途としては、
土木、建設用:現場で砂、コンクリート、資材などの運搬
農業用:生産物の運搬
配送用:自動配送ロボット
除雪用:駐車場などの自動除雪ロボット
などがある。
2024年9月、次世代の移動ロボット技術を開発するDoogでは、このユニットを利用した協働運搬ロボットの試作機、「サウザークロス」を開発したと発表した。同社ではこのユニットが悪路走破性に優れていることや、スズキの電動車いす技術に裏打ちされた、信頼性、品質、低コストが優位性につながるとして、今後の積極的な展開につなげていく予定だという。ほかにも、LOMBYの自動配送ロボットや、山善のオリジナルAMR(牽引タイプ)などが、実用化に向けて開発が進んでいる。
スズキでは、2023年10月に東京ビッグサイトで開かれた「ジャパンモビリティショー2023」でも、次世代モビリティ「MOQBA」を発表している。これは、タイヤのついた足を備える新しいタイプの輸送機器だ。平地はタイヤを使用して滑らかに走行し、階段は足を使って昇り降りをするという、遊び心をもった夢のある乗り物である。
これらはいずれも試作段階であり、今後実証実験などを重ねて実用化されていくことになる。公道を人や物を乗せて走るとなれば、安全性の担保は不可欠だ。しかし、技術的には実用化段階にあるといっても過言ではない。
閉鎖空間である倉庫などで使用することを前提としたものでは、すでに自律走行ロボットや無人運搬車が使われている現場も多いのだ。これらのロボットを、街なかでも見かけるようになる日も案外近いようである。