日本一のトラック乗りは誰だ? 「速きゃいい」わけじゃない「腕と頭脳」で競う「全国トラックドライバー・コンテスト」の難しい中身 (2/2ページ)

大事なのは速さじゃない!

 見どころは、なんといってもトラックが走行する実科競技だ。選手には、それぞれ職場仲間が多数応援に駆けつけており、走っていくトラックに拍手や声援を送っていた。競技は2日間にわたって行われ、初日は点検作業と前進による隘路走行、スラローム走行。2日目は模擬市街走行と後退によるスラローム走行、S字走行、車庫入れである。

 それぞれ競技時間に定めはあるが、決してタイムトライアルではない。そもそも、本大会の目的は「事業用トラックドライバーに求められる高度な運転技能と、関係法令及び車両構造等に係る専門的な知識を競い、他の模範となることで、社会的責務を担うトラックドライバーとしての自覚と誇りをもたせ、業界を挙げた安全意識の高揚と交通事故防止活動の推進に資する」である。

 運転技術といえば、スピード感やギリギリを攻めるなどといったことを競いがちだが、プロのトラックドライバーはそのようなところに重きを置かないのだ。

 実際に、隘路では不必要にスピードを出す選手はいないし、スラローム、S字、車庫入れでは、必要に応じて躊躇することなく切り返しを行っていた。車庫入れでも無理な寄せをすることはなく、総じて余裕のある運転操作で車両を枠に収めている。また、模擬市街走行では交差点での左右確認や狭い曲がり角の左後方確認などを、すべての選手が慎重かつ丁寧に実施していた。これは、日頃からこういった所作が習慣づいている証拠だといえよう。

 実科試験は満点が600点。合計1000点を競うなかで、990点という高得点をたたき出したのは、宮城県代表で4トン部門の中根誉士氏(39)で、挑戦4年目にしてみごと内閣総理大臣賞に輝いた。

 プロのトラックドライバーであれば、運転技術の差はそれほど大きなものではない。同氏は内閣総理大臣賞を目指すにあたって、学科に力を入れたのだそうだ。技術と知識の両輪が、トラック運輸の安全を支えているということなのであろう。


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