この記事をまとめると
■近年は移動販売を行う人が増えた
■そこでダイハツは「Nibako」の提供を開始した
■「Nibako」について詳しく解説する
「Nibako」はシステムとして機能している
2020年ごろから続いたコロナ禍の影響もあり、通信販売が飛躍的に普及している。店舗型の商売は大きな打撃を受けたが、配達サービスや移動販売を行うなどして対抗した。大きなカバンを載せた(背負った?)自転車やバイク、軽トラックの荷台に商品を載せて運ぶ姿が、街なかで増えたのもこのころからだろう。
宅配サービスのように商品を単に運ぶだけなら、車両に求められる機能は荷物を載せられることだけでよい。すでに、軽トラックや軽バンによる配達事業は確立しているので、車両調達のルートは多数存在する。移動販売でも駅前で見かけるような、軽トラックの荷台にテントを張った簡易なものなら、比較的簡単に入手できるかもしれないが、移動スーパー型の販売車両は特注か受注販売になるので、相応の資金が必要になってくる。
「Nibako」のイメージ画像はこちら
折しも、働き方の多様化で独立、起業をする人が増えた。こういった背景を受けて、個人や小規模事業者が気軽に移動販売のできる車両のニーズが高まったのだ。そんな声を受けて、2020年にダイハツが、オールインワン移動販売パッケージの「Nibako」の提供を開始したのである。
これは、新たに移動販売を行いたいと考える小売事業者のニーズに応えるシステムだ。Nibakoそのものは、軽トラックにジャストフィットで搭載できる荷物用のBOX。カーメーカーが自ら提供するものだから、その適合性、安全性、コンプライアンス性などに関する信頼性は高い。BOXの外寸は、高さ1300mm・奥行き1900mm・幅1300mmなので、3立方メートルを超える容量をもつ。
「Nibako」のイメージ画像はこちら
重量は150kgだから、大人数人でもち上げることも可能だ。リフトキャスターやNibakoスタンドを使用すれば、軽トラックの荷台から切り離して使用することもできる。これに、スライド式パーテーションウォールと、商品展示用のアルミ製ラックが4台セットになっており、これらはあらゆる商品に対応可能なように汎用性のある形状になっている。
このように、Nibako自身の利便性、汎用性の高さも驚嘆に値するが、注目するべきはこれがシステムとして提供されていることである。事業の流れは、ダイハツがNibakoを傘下各販売会社にリースし、販売会社はユーザーに軽トラックをセットにしてレンタルする。このレンタルはパックになっていて、事業相談、移動販売スキル、Nibako WEB会員サイトで出店告知といったメニューが、セットになっているのだ。
「Nibako」のイメージ画像はこちら
すなわち、小売事業者は移動販売の経験、スキルがなくても、コンサルティングや販促、PRなどのサービスをしてもらえるということだ。WEBサイトでは、コミュニケーションサービス、店舗マルシェへの出店、販売マーケティング情報、販売場所紹介、販売商品の斡旋、働き手の紹介などをサポートしてくれるという。
神奈川ダイハツは直売所検索サービスを開発、運営をするYACYBERと共同で、直売所出店イベントを開催。Nibakoに農産物や加工品を並べてアピールした。また、京都リサーチパークでは2020年の年末に、Nibakoによる野菜やスィーツの販売イベントが開かれている。
「Nibako」のイメージ画像はこちら
ホームセンターのカインズでは、気軽にDIYが楽しめる「カインズDIYトラック」にNibakoを採用。2024年には、京都で開催されたZ世代とつくるリユースイベント「循環フェス」にも、地元高校の「探求学習」の一環として、高校生がNibakoを使って出店した。このように、さまざまな可能性を秘めるNibakoプロジェクト。今後の展開が楽しみである。