【試乗】雪道だったらロードスターより速い! 2トン超えの大型SUV「CX-80」を雪上で限界走行した!! (2/2ページ)

パイロンが設置されたコースでの走りはまさに「意のまま」

 クローズドコースでは、モーターのない3.3リッター直6ディーゼルターボを積むSKYACTIV Dに試乗。コースは圧雪路と登坂路が準備されていた。登坂角は20%(12〜13度)というキツさだ。一般道なら躊躇してしまいそうな傾斜のなかほどに停止させ、坂道発進を試す。

 ブレーキを強く踏み込むとヒルホールドが作動して後ろ下がりを防止してくれる。その状態でゆっくりアクセルを踏み込むと、とくにエンジンが唸るわけでもなく、ゆっくりと上り始める。試しにアクセルを強く踏み増すと、エンジンのターボトルクが加わり、瞬時に後輪を空転させ、次に前輪も空転。トラクションコントロールが作動しても一旦滑らせて路面を磨いてしまうと再スタートは難しくなる。それでも一旦停止させ、緩やかに再スタートさせれば、再び発進できる。

 試乗車のCX-80はドライブモードとしてノーマル。スポーツ、オフロードの3モードから選択可能だが、こうした極限状況では明確な差異は感じられなかった。

 次は圧雪の特設コース。パイロンが設置されジムカーナコースのようなコース設定だ。

 発進して最初のターンでフロントが直ぐに回頭し、合わせて後輪がスライドを始める。4輪スキッド状態をアクセルとステアリング操作で姿勢コントロールし、綺麗なドリフト姿勢でクリアできる。そのままS字ターンを左右にドリフトアングルを変えてクリアしアクセルを踏みこんで加速旋回も試す。FRならスピンしてしまいそうな場面でも前輪に駆動力が伝わり加速旋回していく。その走りはまさに「意のまま」で、CX-80の基本特性がいかに優れているか理解できる。

 ちなみにDSC(電子制御姿勢安定化装置)をオフにすることはできず、TCS(トラクションコントロール)のみオフにできるが、オンのままでもこのような走行が可能なことに驚かされた。

 FRベースで後輪駆動のドライブフィールを強く引き継ぎながら、4WDとして十分なトラクションを発揮できるので運動性能と悪路走破性に優れているというわけだ。

 今回、リヤサスペンションに加速時リヤ沈み込みを抑えるアンチスクウォート、ブレーキング時に浮き上がりを抑えるアンチリフトジオメトリーを採用し、フラットな姿勢を維持できるようになったのも進化を認められる部分だ。それは雪道ならロードスターより速いのでは? と思えるほどで、マツダがCX-60ベースのラリー仕様車を仕立てているのも頷けるのだ。今後のラージ商品群のさらなる進化を期待したい。

試乗車主要諸元表


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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