王者・坪井や日産系ドライバーの電撃参戦など注目ドライバーが集結
さて、モータースポーツとしての側面に話を戻そう。「最高峰のHUMAN MOTORSPORTS」を掲げるスーパーフォーミュラ、やはりその中心はマシンを操るレーシングドライバーだ。

今回のプレスカンファレンスには、2024年シーズンのドライバーチャンピオンである坪井翔選手(1号車・VANTELIN TEAM TOM’S)、2024年はスーパーフォーミュラの開発ドライバーを務め、今シーズンは全日本F3選手権でチャンピオンを獲得して以来8年ぶりのフォーミュラ参戦となる高星明誠選手(20号車・ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)、石川県出身のブラジル人ドライバーであり、グランツーリスモ初代世界王者のイゴール・オオムラ・フラガ選手(65号車・PONOS NAKAJIMA RACING)、WEC世界耐久選手権でF1元世界王者のジェンソン・バトンらとともにハイパーカークラスのポルシェで活躍した、デンマーク出身の若手オリバー・ラスムッセン選手(19号車・ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)が登壇した。

それぞれ今シーズンに向けた意気込みを漢字一文字で表現し、抱負を語った。
坪井選手はチャンピオンを再び勝ち取るという意味を込めて「再」を選択。昨シーズン富士スピードウェイで行なわれた3レースをすべて勝利した一方、鈴鹿では一度も勝てなかったのが心残りだとし、今シーズンは鈴鹿での勝利にこだわる。

連覇に向けては、今シーズン用の新タイヤとレースフォーマットへの適合と順応性、さらに予選できっちりとトップ3に入って細かくポイントを取っていくことをポイントに挙げた。直近の5年間でスーパーGTで3回、スーパーフォーミュラで1回チャンピオンを獲得し、いま最も「乗れている」ドライバーといえる。今シーズンも間違いなく選手権争いの真ん中にいることだろう。
高星選手は爆発の「爆」を選択。スピードも結果も爆発させて、インパクトのある結果を残したいとこの文字を選んだ。トヨタとホンダの2社がエンジン供給を行うスーパーフォーミュラでは、必然的に両社と契約を結んでいるドライバーがシートを獲得する傾向にあるなか、日産の育成出身ドライバーが参戦するのは稀なケースだ。とくに高星選手は今季スーパーGTでは日産のエース車両である23号車に加入。奇しくもGTのパートナーである千代選手以来の日産ドライバーのフル参戦となる。

そのことについて質問された高星選手は「近年日産の育成ドライバーが(トップ)フォーミュラに乗るということが無かったので、僕自身もそうですけど、僕の後のドライバーに対しても、結果を残すことで日産ドライバーがこれからもスーパーフォーミュラに乗り続けれられる道を切り開けたら」と自身だけでなく後輩たちのためにも結果を追い求める姿勢を示した。
続くイゴール・オオムラ・フラガ選手が選んだのは「掴」だ。日本に来てから多くのサポートでチャンスを得てきたが、このスーパーフォーミュラ参戦もこの先を見据えたスタート時点だとし、将来の目標を掴むための礎にしたいとこの文字を選んだ。

グランツーリスモの元世界王者であり、シムレーサーとしての実績に加え、今シーズンからF1のレッドブルのシートに座るリアム・ローソンに競り勝ってシリーズチャンピオンを獲得したこともある実力者。
当日はグランツーリスモで実際に鈴鹿のタイムアタックを実演しており、リアルとバーチャルの融合を目指すJRPからの期待も大きい。

最後にデンマークからやってきたオリバー・ラスムッセン選手。「気」という漢字を選んだ。今シーズンは新たな挑戦のシーズンとなり、さまざまなことに取り組むなかで必要なことはメンタルを安定させることだというのが理由。

初めてにしては上手に漢字を書いており、インタビューアーの質問に対しても「Yes」ではなく「はい」と応えるなど、落ち着きと順応性の高さを示していた。昨シーズンは低迷してしまった名門インパルを、新加入の高星とラスムッセンのふたりで復活に導けるか要注目だ。
今回は登壇しなかったドライバーも個性的な面々が揃う。全22名のドライバー、そしてともに戦うチームスタッフに注目しながら、ぜひサーキットやさまざまなライブ配信サービスで楽しんでもらいたい。