この記事をまとめると
■EVのリセール価値が低い理由としてバッテリー劣化とその不透明さが挙げられる
■短時間・低コストで測定可能な診断機「EverBlüe Drive ETX010」が登場
■軽量コンパクトかつ簡単操作でEV市場の成長を後押しすることが期待される
バッテリーメンテナンスからEVシフトを支える
日本でEVシフトがなかなか進まない理由のひとつに、リセールバリューの低さが挙げられる。ガソリン車と違って、電気自動車の駆動用バッテリーは劣化してゆくためだ。スマートフォンを使っているうちに、だんだん電池の持ちが悪くなってきた……という体験をしたことがある方は少なくないのではないだろうか。原理的にはそれと同じで、使用にともなってどうしてもその性能が劣化してしまう。
その性格を踏まえれば、EVを中古車として購入することに抵抗が生まれるのも致し方ないところだろう。バッテリーの劣化度(SOH)は一概に走行距離と比例するわけではなく、その使い方によっても大きく変わってくるため、低走行車であれば安心とも限らない。
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そこで活躍するのが、バッテリー診断機だ。バッテリーの劣化度を明確に指標化することで、中古車の適正な値付けが可能となり、ユーザーと販売店の双方にメリットが生まれるのだ。また、中古車販売以外のリユース・リサイクルといった再利用のためにも、診断機は必須となる。
しかし、既存のバッテリー診断機は高価であったり、測定に時間を要したりといった課題を抱えているものが多く、なかなか普及に至っていないのが現状である。
今回登場した「EverBlüe Drive ETX010」は、そんな診断機の現状に一石を投じる画期的な新製品となっている。
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注目なのは、その診断方法だ。市場に流通するほとんどのバッテリー診断機は、急速充電中に電気的な試験を行うことで劣化度を測定する。それゆえ、コストや時間がかさむことが課題となっていた。そこでEverBlüe Drive ETX010では、「データマイニング法(大量のデータから有用な情報・パターンを見つける方法)」を採用。測定精度を保ちながら、コストの低減、測定時間の短縮に成功し、さらに充放電を行わないため安全性にも優れているという。
じつはEverBlüeは、EVメインのリバースエンジニアリングビジネスや、自動車部品の輸出入、最新車両のベンチマーク情報サービスといった事業を長年にわたって手がけてきた三洋貿易のブランドのひとつ。そのノウハウと膨大な自社保有データを活用することが、データマイニング法での安価で正確な診断を可能にしたというわけだ。
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この画期的な診断法によって、診断機の小型化も実現されている。ハンディタイプの本体重量は750gと軽量で、煩雑なケーブルや関連機器も必要としない。使い方は、クルマの急速充電口(CHAdeMO)に本体を挿入するのみ。わずか30秒ほどで診断が完了し、スマートフォンの専用アプリ上に診断結果が表示されるため、特別な専門知識も要求されない。対応車種については、CHAdeMOコネクターを持つクルマであればBEVでもPHEVでも使用が可能となっている。
EverBlüe Drive ETX010の価格は、税込19万5800円。別途でアプリ・システム利用料が必要となるが、それでも他社製品と比較して大幅に割安な値づけとなっている。
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EverBlüeは、バッテリーメンテナンス機器をシリーズとして順次発売予定としている。電気自動車に関わる者ならば、今後も要注目のブランドだといえるだろう。