「Formula Gymkhana 2024」で3位の「近畿大学」は関西ノリのハイテンション! 自動車部の素顔を覗いてみた!! (2/2ページ)

したいことを考えて行動に移せるのが近大自動車部の強み

 さて、ではフォーミュラジムカーナを闘った選ばれし精鋭ドライバー3名をここで少し紹介したいと思う。まずは第1ドライバーの髙田哲平さん。富山県出身・経営学部の22歳。愛車はNBロードスターだ。

──各大学イコールコンディションでしたが、何か難しい点はありました?

「自分の個人車はNBロードスターなんですが、部車もGR86でFR車、でも今回の車両はFF車で、しかもノーマル車+ハイグリップタイヤと普段とはまったく違う環境だったというのが大きかったですね。それでうまく走らないといけない状況だったのが個人的には難しかったです。ほぼノーマルのFF車は、後輩がもっていた古いアルト・バンくらいしかなくて、それを使った練習中に横転しかけるというトラブル? もありました(笑)」。

「でもそのおかげでタイヤの限界を超えたときの挙動・操作など、FFの特性が少しはわかったかな。普段乗っているクルマとは違うFF車のヴィッツGRMNでしたが、今回でめっちゃほしくなりました。運転がとにかく楽しくて。いままで乗ってきたFF車のイメージというと“アクセルを踏むとアンダーが出て乗りにくい、曲がりにくい”だったのですが、ヴィッツGRMNは予想に反してその印象をガラリと変えてくれました。ハンドル操作がニュートラルに反応してくれる、切った分だけ動いてくれる、しかもパワーが出ているから乗りやすい。意のままに操れた気がしました」。

「決勝で履いたタイヤのポテンザ71RSも、国産ハイグリップを新品で履ける機会なんてほとんどなかったので、ありがたかったです。グリップしてくれるので普段も履きたくなりました。ただ、使い方が多少難しく、熱の入り方が一定にならない気がして、経験値も無いため適切なエアセッティングが難しかったですね」。

──チームワークで気を付けたことは?

「普段からそうなのですが、3人の合計タイムなので、ひとりだけが速くてもダメで、それよりはドライバーの底上げ、タイムの底上げに気を遣いました。練習でもFormula Gymkhanaに出そうなコースを想定して、サイドターンなしでパイロンを最速でまわるなどの練習をしました。プロドライバーの走りと自分たちの走りを比較し、3人それぞれが最適なラインを取るのではなく、3人のドライバーの意見をまとめたうえで、3人で走る最適なラインを取ることを目指しました。使用するギヤ選択も決めていましたね」。

──個人的な戦略はありました?

「“ジムカーナは減点方式”という言葉を肝に命じていました。熱くなるとミスが増える、100%を120%にはできない競技なので、とにかくミスをしない。頭を冷やしてツッコミ過ぎない、踏み過ぎない、アンダーを出さない、を心掛けていました。ボクは頭で考えて走る、しかも言語化するのが大切だと思っています。挙動がどう変なのか、どうすれば解決するのかを考えながら走ることを普段から気を付けています。タイヤやクルマに対しての知識がどんどん増えていくので、そこは自分がファーストドライバーでよかったと思います」。

 次は第2ドライバーで主将の辻野眞人さん。大阪府出身の理工学部の19歳。愛車はまだ買ったばかりというスズキ・スイフトスポーツだ。

──自動車部に入ったきっかけは?

「インスタでこの自動車部の存在を知り、部員たちが和気藹々としていて面白そうだったんです。それからジムカーナも始めました。入部の決め手となったのはクルマについてもっと知りたいと思ったからですね」。

──将来の夢は?

「人の役に立てる仕事に就きたいですね。レース関係もやりたい。趣味程度にドライバーもやりたい。Formula Gymkhanaは、来年こそは団体1位、個人1位を目指したいです! 愛車スイスポのこだわりは「街なかに潜めるおとなしめなルックスに反して実際はかなり速いところ。いまはブリッドのバケットシートとエンジンマウント交換、クスコの車高調などのライトチューンですが、今後はデフを入れたりしたいですね」。

 最後、第3ドライバーは長町来世さん。三重県出身、理工学部の24歳。愛車はスバルBRZだ。

──イコールコンディションの難しさはありましたか?

「ボクたちが普段しているジムカーナとは違い、Formula Gymkhanaは、前日の練習走行とまったく同じコースを翌日に走るわけですが、同じ状況のなか、ほかの大学はどうやって洗練された走りにしてくるのか、どこまで仕上げてくるのかが未知数で。前日練習ではボクたちは1位のタイムを出しておらず、どこまで詰めたらいいのかもわからなかったことですかね」。

「プロドライバーの走りの動画を参考に自分たちの走りを修正して、かなり走りは変わりタイムも上がったのですが、あとセクションごとの比較動画を作って、プロドライバーより自分たちの走りのほうが速い、ここはプロのほうが速い、という風に組み立てて行きました。動画の研究でみんなの意見を出し合い、ひとつの正解を作っていく感じを目指しました」。

──自動車部に入った理由は?

「クルマは好きでしたけど、ただの運転好き、ドライブ好きでしたから自動車部で聞くEK9? DC2? なにその暗号? っていう感じで当初は何もわからなかったですね。好きなクルマはポルシェGT3 RSです。まず見た目が好きなのと、根っからのスバリストなんでしょうね、水平対向エンジンが好きなのかな(笑)。いま、理工学部の情報学科にいるので、車載カメラの画像データの奥行きと物体認識について研究をしています。スバルやマツダなど自動車メーカーに興味があります。将来はメーカーで仕事がしたいと思っています」。

──部活動は大変ではないですか?

「三重県から通いながらガソリンスタンドと板金屋さんをふたつ掛けもちでバイトしています。部活との掛けもちで忙しいですね。板金作業こそしないですが、洗車、納車引き取り、簡単なオイル交換、タイヤ交換、車検対応などをやっています。ガソリンスタンドは社割でガソリン代が安くなり、洗車ができるなどのメリットがありますね。おもしろいクルマがたまにくるのも楽しいですね」。

 最後に、部員のみんなに近大自動車部あるあるを聞いてみたところ……

「愛車にNA、NBのマツダ・ロードスターが多い」、「部室の横に自生している引っ付き虫にくっ付かれると留年します(笑)」、「留年するとマジで1秒速くなる」、「ドライバーに選ばれる奴は(そのときは)彼女がいる。彼女がいなかったらどれだけ速くてもドライバーに選ばれない(笑)」など、さすが関西の大学らしくオモシロトークを交えて教えてくれた。

 先輩、後輩の垣根なく、お互いにイジられ系のクルマ好きが集っている印象だ。走るのが好きな部員が揃うが、全員整備も好きでクルマをイジりたいという人間が多いとか。

 最後に主将の辻野さんから「自分たちのしたいことを、自分たちで考えて行動に移せるのが近大自動車部の強みです」と教えてくれたが、まさにそれこそが近畿大学体育会自動車部の魅力だろう。Formula Gymkhana 2025ではぜひ、団体1位、個人1位を獲得してほしいぞ!


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