ガソリンや軽油は環境に厳しい! 水素は供給に課題! だったら……トラック・バスは「バイオ燃料」に期待するしかない (2/2ページ)

バイオディーゼルの実証実験も

 これに対して、水素内燃機関は理論上CO2を発生しない。メカニズムもCNGエンジン同様に、ガソリンやディーゼルのエンジンと非常に似通っている。ただ、解決するべき課題となっているのが、燃料となる水素の製造、供給体制に試行錯誤が続いていることだ。現段階では、構築の目途が立っているといえる状態ではない。また、燃料を燃焼させてエネルギーを得るという構造上、CNGと同様にNOxなどを発生する。

 このように、地球環境改善に向けた車両燃料に関する取り組みが盛んに行われているなかで、注目を集めているエネルギーがある。それが、バイオ燃料だ。これは、現生生物を利用して製造する燃料の総称で、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱といった地球資源の一部など自然界につねに存在するエネルギーのこと)のひとつである。

 自動車用燃料として有名なのは、バイオマスエタノールと呼ばれるアルコール燃料だ。比較的栽培しやすく、安価に入手可能なトウモロコシ、サトウキビのほか、穀物、廃糖蜜といったものを原料にして、燃料用アルコールを製造するのである。

 また、軽油の代替燃料としては、バイオディーゼルが開発されている。原料に使用されるのは、菜種油、大豆油、コメ油などの植物油や、魚油、豚脂、牛脂などの獣脂が一般的だ。しかし、従来廃棄するものである廃食用油(使用後の天ぷら油など)でも原料になり得ることが、今後の期待に繋がっている。

 2024年3月から長野県の地元建設事業者2社が、廃食油、非可食油を原料とするバイオ―ディーゼルを使った実証実験を開始した。同社構内で稼働するフォークリフトに同燃料を使用し、その性能調査やCO2排出量の計測を行なう。そして、同燃料による事業に関して持続可能性を検証するというものだ。バイオ燃料はまだ道半ばではあるが、このような実証実験が重ねられることで、実用化される日も近いのではないだろうか。


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