軽自動車の任意保険が急に「値上がり」「値下がり」した人がいる! 2025年から始まった「型式別料率クラス細分化」ってどういうこと? (2/2ページ)

むしろ保険料が下がったクルマも

 スポーツカーであれば、料率クラスがあがっているかもしれない。そこで、ダイハツのオープン2シーター、コペン(現行型)の型式別料率を新旧で見てみよう。

 従来の料率クラスでは、オール1と意外にもローリスクな車種という評価を受けているコペン。新制度においても対人賠償1・対物賠償3・人身傷害3・車両保険1となっている。基本的には従来からスライド(1→3)したカタチで、対人賠償と車両保険についてはもっともリスクの小さいクラスと評価されている。つまり、保険料を設定するための料率クラスとしては下がっているといえるのだ。

 同じく趣味性の強い、スズキ・ジムニーの料率クラスを見てみよう。これまでも対人賠償2・対物賠償1・人身傷害1・車両保険1と低かったが、新しい料率クラスでは対人賠償4・対物賠償2・人身傷害1・車両保険1と、新設された「保険料の安くなるクラス」に分類されている項目が多い。

 逆に高くなってしまっている例として、日産の電気自動車サクラを紹介しよう。こちら、従来のクラスでは対人賠償2・対物賠償3・人身傷害2・車両保険3というものだったが、新しいクラス分けでは対人賠償5・対物賠償5・人身傷害4・車両保険7となっている。車両の高価な電気自動車なので車両保険の料率クラスが最上級になってしまうのは仕方ないかもしれないが、サクラのように料率クラスが上がってしまうケースでは、各社の設定する保険料も上昇しているだろう。

 大手の損害保険会社である東京海上日動によると、従来ではもっともリスクの低いクラス1に対してリスクの大きなクラス3の保険料は約1.2倍だったが、クラスが拡大したことによりクラス1に比してクラス7の保険料は約1.7倍になるという。

 これだけを見ると、保険料負担が増えたように思えるが、そうとはいい切れない。

 各クラスの保険料差は約1.1倍となっているので逆算すると、もっともリスクが小さいと評価されるクラス1の車種については、従来のままクラス3であったときより18%減の保険料となっていると計算できる。

 冒頭でも記したように、軽自動車の任意保険料の参考となる料率クラスを細分化したのは事実だが、それは保険の公平性のためであり、すべての軽自動車で負担増というのはミスリードといえそうだ。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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