MT免許を取りたい人でも教習所はAT車が中心になる! これで乗用車はともかく大型トラック&バスを「まともに乗れる」運転士が育つのか? (2/2ページ)

車両導入と人材教育により事業者の負担が増える

 トラックやバスでのMT車といっても、「フィンガーシフト(フィンガーシフトコントロール)」というシフトストロークの短い電磁エア式の変速機となっている車種が圧倒的に多く、これは疲労軽減やシフトミス防止に効果を発揮するものがほとんどとなっている。ただ、バスではいまだに床から生えるロングストロークとなる「通称:竿」と呼ばれるシフトを採用する車両もまだまだ見かける。AT限定免許導入後もMT車も運転できる(使いこなす)人材を必要とする事業者も残りそうである。

 また、操作が簡易となったフィンガーシフトだが、聞くところによるとメーカーにより、その操作に「クセ」のようなものがあり、ずいぶん印象が異なるようである。事業者の現状を考えれば、補助金を手厚くしても、全国レベルですべてのバスやトラックを短期間でAT化するのは財政的な問題のほか、車両供給体制という観点でも厳しいように見える。

 プロドライバーが荷物やお客を乗せて運転するからこそ、「MT車でのしっかりした教習経験を踏まえ、そしてAT車も使いこなす」という流れも必要のような気がする。

 また、ひとことでATといっても、ある現行路線バスでは2ペダルの一般的なATのほかに「2ペダルMT」ともいえる「AMT(オートマチック・マニュアル・トランスミッション)」も選択可能となっており、同型車でも事業者によって異なる2ペダルシフトになっていることもある。これがBEV(バッテリー電気自動車)となれば、ますます勝手が異なってくる。

「働き方改革」、「働き手不足」というキーワードでいけば、その解決策のひとつとして「AT限定免許」というものが思い浮かぶが、今後は運転士として独り立ちさせるため、法令にのっとったこと以外の領域での教育に負担がかかっていくようにも思える。

「ならば自動運転」ともなるが、数年前よりはかなり状況は前進しているものの、すべての問題をいますぐ解決するというところまでは残念ながら到達していないのもまた現実といえよう。

「全部AT車にすれば問題解決」とも考え中型車や大型車でもAT限定免許を導入したようだが、そこだけ変えてもなかなか想定通りにものは運ばないような気がする。全車ATになるまでの移行期間を短めにするためのバックアップも、あわせて充実させる必要があるのではないかとも考えている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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