
この記事をまとめると
■軽自動車がオフセットナンバーを採用するのはエンジン冷却の効率を向上させるため
■道路運送車両法にはナンバープレートの装着位置に関しては具体的な記載がない
■オフセットナンバーには車両性能の最適化と法規制への適合という要素が存在している
軽自動車のナンバープレートが左右どちらかにオフセットされる理由
最近、多くの軽自動車のフロントに装着されるナンバープレートが、車体の中央ではなく左右どちらかにオフセットして取り付けられているのに気付いているだろうか。これはデザイン的なカッコよさのため? しかし、多くが普通車ではなく軽自動車というところに違和感を覚える。ただ、この配置には明確な理由が存在するのだ。本稿では、軽自動車におけるオフセットナンバーの背景と意義について詳しく解説しよう。
<オフセットナンバーの目的>
端的にいうと軽自動車のフロントナンバープレートが中央からずれている主な理由は、エンジンの冷却効率を向上させるためだ。最近の多くのクルマは前輪駆動(FF)方式を採用しており、エンジンが車体前方に搭載されている。
しかし、軽自動車は全長3.4m、全幅1.48m、全高2.0m以内という規格に収める必要がある。その規格の範囲内で、なるべく車内を広く、居住性を向上させるには、エンジンルームをぎりぎりまで小さくする必要が出てくる。
エンジンルーム内にはエンジンやラジエターなどが合理的に配置されているが、それらを効率的に冷やすためには電動ファンだけでは不十分で、走行中の外気も必要となってくる。
軽自動車は全幅1.48m以下だが、ナンバープレートは普通車と同じ横幅が33cmだ。そうなると、フロントパネルを覆う面積の割合は大きくなってしまうので普通車と同様に中央に配置すると、走行風はプレートで遮られて左右に細かく分散され、効率よくラジエターに風を当てることができない。よって冷却効率が低下する可能性がある。
そのため、ナンバープレートを左右どちらかにオフセットして取り付けることで、ラジエターへの空気の流れを確保し、エンジンの冷却性能を向上させているのである。