アメリカでのリコール騒ぎで悪評を払拭できず後継モデルへ移行した
エンジンは、2輪車で実績のある並列2気筒で、加速性能は「スポーツカー並みの出足」と、試乗した記者も感心したと伝えられる。
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前輪駆動による車体は、メカニカルな部分はできるだけ小さく、キャビンはできるだけ大きく、そして移動に必要な荷物を入れるトランクを設けるという、今日に通じる「マンマキシマム・メカニズムミニマム」の考えで構想されていた。
明確な目標と設計方針のもとに生まれたのがN360であった。
絶頂期にあったNに暗雲が立ち込めるのは、米国を発端とするリコールだった。日本の企業に対し、リコールが十分に実施されていないとする論評が米国で起こり、日本においてもリコールへの注目が集まった。前輪駆動車ならではのタックインという操縦性によるNにまつわる事故に対し、消費者団体からリコールの懸念がもたらされたのである。
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しかし裁判を通じ、リコールに当てはまらないとの判決が下された。そして、訴えを起こした消費者団体に対しては、恐喝との有罪判決が下されるに至った。しかし、消費者の心象の悪化は拭い切れない結果となった。
一世を風靡したN360は、後継のライフへ移行し、その後ホンダは、自ら軽自動車開発から身を引くことになる。次に自社開発の軽自動車として誕生するのは、11年後のトゥデイである。