大事故で修復が高額になる場合は廃車扱いに
なお、前述のように「修復歴あり」のクルマは相場よりも安く購入できるメリットがあるが、購入後、およそ4割のクルマに何らかのトラブルが発生しているとされるデータもあるので、クルマに詳しくない人や、長く乗りたいという人は、「修復歴あり」のクルマを避けるのが賢明だ。
ちなみに事故を起こしたクルマが、償却率や中古車相場などに基づいて決められる「時価」よりも修理費用が高いとジャッジされると、保険会社は「全損=廃車」と判定する。
というのも、保険会社が支払う修理代金の上限は、通常そのクルマの「時価」と同額だからだ。
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しかし、保険会社に「全損」といわれても、そのクルマが無価値になるわけではない。修理すればまだまだ乗れたり、古いクルマでもマニアには人気のあるクルマだったりすれば、保険代の折り合いがつかなくても十分価値がある。
経済学では、モノの価値について「使用価値」と「交換価値」のふたつにわけて考えるのが一般的で、別途「象徴価値」(物語性=ブランド)も加わるので、これらの3つの価値がすべてなくなるまでは、価値あるクルマと考えていい。
日産スカイラインGT-R(R32)の事故車両画像はこちら
たとえば、壊れて不動車になったとしても、展示しているだけで価値があるクルマもあるし、機械的には問題がないのに、不人気車で買い取り価格が二束三文なら、交換価値はほとんどゼロ。同じような性能、同じような速さでも、同じような年式でも、前オーナーがスーパースターだったり、何らかの希少性があれば、新車価格が同じでも、中古車価格で大きな差がつくことは珍しくない。
保険会社の被害算出は、なかなかこうしたことまで加味できないので、ときとして示談交渉が難航することがあるが、この手のトラブルを避けるために、対物超過修理費用特約を付帯する自動車保険も増えてきている。