
この記事をまとめると
■三菱の看板車種として長年愛されていたのがランサーだ
■FF駆動のランサーフィオーレはランサーの派生車として人気を博した
■本家のランサーをランサーフィオーレが飲み込む形でランサーはFFモデルとなった
ミラージュの兄弟車だった大衆セダン
三菱の伝統ある車名のひとつであるランサー。残念ながら現在はその名前は途切れてしまっているが、そんなランサーの名前を冠した派生車種として有名なのはランサーエボリューションだろう。
しかしランサーの派生車種はそれ以外にも存在しており、短期間のみ存在していたのが1982年2月に登場したランサーフィオーレなるモデルである。
このランサーフィオーレは1979年3月に2代目へとフルモデルチェンジを果たしたランサーEXと並行してラインアップされていたもので、FRレイアウトを継続採用したランサーEXに対し、ランサーフィオーレはFFレイアウトを採用していたというのが最大の違い。
というのもランサーフィオーレは1982年2月にマイナーチェンジを実施し、4ドアセダンが追加された初代ミラージュの兄弟車となっていたのだ。
当時、ギャラン店とカープラザ店の2つの販売チャンネルをもっていた三菱だったが、カープラザ店はエントリーモデルとしてミラージュが存在していた一方で、ギャラン店にはランサーよりも下のクラスの車両がなかったため、ミラージュの4ドアをランサーフィオーレとして投入したのである。
そのため、ランサーEXよりもスタート価格が低く設定されていたランサーフィオーレだったのだが、FFレイアウトを採用したことで広い室内空間を実現し、低価格でコスパがよかったこともあって、本家のランサーEXを上まわる人気を獲得してしまう。
1983年10月にベースとなったミラージュとともにフルモデルチェンジを果たしたランサーフィオーレはさらに人気を拡大。一方のランサーEXはターボエンジンを搭載し、モータースポーツの世界で活躍を見せた通称ランタボ以外のグレードは縮小され、完全にランサーフィオーレに置き換えられることとなってしまった。
結局ランサーEXは1986年ごろには終売となり、ランサーフィオーレが正式にランサーの名前を継ぐ車種となった。そして1988年6月に再び名前をランサーに戻して登場した新型は引き続きミラージュと兄弟車関係にあり、派生車種が本流のモデルを飲み込む形となっていった。
その後もランサーはミラージュとの兄弟車関係が続き、2000年5月に登場したランサーセディアがカープラザ店でも併売されるようになるまでは存在し続けていたが、ミラージュには3ドアハッチバックや2ドアクーペがあったのに対し、ランサーは最後まで4ドアセダン(と5ドアワゴン/バン)のみというキャラクターだけは守りとおしていたのだった。