タッグを組むと巨大組織に
ホンダと日産の経営統合は破談になったが、電動化に際しては、駆動用電池を始め共通化できるユニットや技術が多い。とくにホンダは、2040年までにエンジン搭載車を廃止する方針も掲げている。そのために今後も両社の業務提携は成り立つ。ハイブリッドは前述のとおり、ホンダのe:HEVが優れ、CR-Vには燃料電池車のe:FCEVも設定した。
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その一方で日産には電気自動車が豊富だ。軽自動車のサクラ、ミドルサイズハッチバックのリーフ、上級SUVのアリアがあり、日産とホンダで互いに供給できるユニットやパーツも生じるはずだ。
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とくに日本の道路や使用環境に合った電気自動車は軽自動車になる。そのためにサクラの2024年の売れ行きは、日本国内で販売された電気自動車の37%に達した。これは、新車として売られる電気自動車の3台に1台以上がサクラとなる数字だ。
そして、軽自動車は開発や製造コストの割に価格が安い。つまり利益が少ないため、パワーユニット、駆動用電池、プラットフォームなどを複数のメーカーで共通化したいとメーカーは考える。日産&三菱とホンダはそれぞれ軽自動車を手がけ、今後は日本で有利な電気自動車として車種を増やすはずであるから、提携するメリットも大きい。
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このほか、販売面の提携も考えられる。国内の販売店舗数は、ホンダが約2100カ所、日産は約2000カ所、トヨタは約4400カ所だ。ホンダと日産が販売面で提携すると、トヨタに対抗できる数字となる。地域の性格に応じてホンダと日産の合同店舗を設けたり、レンタカーやカーシェアリングの合同ステーションを設置する方法もある。定額制カーリースを両社で効率良く運営することも可能だ。
経営統合で失敗しても、業務提携する効果は十分にある。両社が意地を張らなければ、将来に向けて多岐にわたる業務提携を実現できるはずだ。