
この記事をまとめると
■ジムニーノマドのデザインの完成度について考察
■話題となっているのはフロントの表情と長くなったボディ
■もしもシエラとノマドを同時開発していたらと考えると非常に興味深い
ジムニーノマドのデザインは完璧なのか?
発売後、わずか4日で5万台を超える注文により受注を一時停止したジムニーノマド。それほどに「待ちに待った!」5ドア版ということになりますが、ではそのデザインの完成度はパーフェクトなのか? 爆発的人気は承知のうえ、ここではチョット落ち着いて深堀りしてみたいと思います。
話題の中心はふたつのポイントか?
ジムニーノマドのデザインは完璧なのか? まあ、なにせ数日で5万台を超える注文があったのですから、よもやおかしなデザインである筈がありません……では話が終わってしまうので、ここはもう少し突っ込んで考えてみたいと思います。
超人気車らしく、すでにさまざまな媒体等でも多くの感想や意見が出ていますが、話題はおもに2点で、フロントの表情と長くなったボディに対する話に集約できそうです。
そのフロントは、やはりグリルのメッキ加飾に対する是非ですね。スズキはこれを「上質感のあるグリル」と謳っています。そこで、あらためて広報資料をひっくり返して見てみると、ノマドのターゲットは「ジムニーの性能を日常生活で必要とするユーザー」となっています。
つまり、新型は後席の居住性や乗降性の向上を「上質なモノ」と捉えたワケですが、果たしてそれはどうなのか? たとえば複数の友人や家族を乗せる生活が「上質」につながるのか? ということですね。
個人的にはチョット違和感があります。家族を乗せるといっても、これはスペーシアでもソリオでもなく、あくまでも「プロユース」を柱とするジムニー。だとすれば、ここで「顔」をメッキで装飾するのは違うような気がするのです。
じゃあどうすれば? というと、僕はグリルパネルをダークグレーに変更するだけで十分だったと思います。実際、発表会で実車を見てもそれだけで結構印象が違っていたんですよね。で、メッキは「推奨オプション」として訴求すればそれなりに注目されたのではと……。
3ドアベースのデザイン開発
一方、長くなったボディについては、要は間延びして見えるか否かという話題が多いですね。ここで意外だったのは、当初から5ドアを見越したデザイン開発ではなかったという点です。
これ、どこかで聞いた話だなと思ったら、マツダのCX-60とCX-80の関係と似ています。2列シートのCX-60をベースに後からボディを伸ばす、しかもバックドアは共有しなくてはイケナイという難行。
ジムニーノマドが間延びしているのかといえば、僕は見る角度によって印象が異なるギリギリのところと感じていますが、いずれにしてもリヤが少し重く見えるのは確かです。たとえば、ショルダーラインがあと1度でも2度でもウエッジすればずいぶん印象が違うのでしょうが、ベースがある以上それは無理な話。
また、リヤのオーバーハングがこの手の5ドアボディとしてはかなり短く、ちょっと窮屈なのも重く見える理由かもしれません。ただ、340mmのホイールベース拡大は後席空間のために必須ですし、ジムニーシエラと同等のデパーチャーアングルの確保も必要。それでもあと50mmあれば相当印象が違ったのでしょうけど、それも車格的にも難しかった?
ま、身もフタもない話ですが、もし現行ジムニーがノマドだけだったらこうした違和感はほぼなかったと思えます。つまり、3ドアであるジムニーシエラのスタイリングがあまりに素晴らしく、乗用車然とした先代からの原点回帰具合も含めてパーフェクトなんですね。したがって、どうしても比較して見てしまう……。
じゃあ、最初から一括開発していたらどうなったのか? そこは非常に興味のあるところですね。