この記事をまとめると
■サマータイヤは7℃以下くらいになるとグリップ性能が大幅に低下する
■氷上グリップ性能の高いスタッドレスタイヤはシャーベット状の排雪が苦手
■路面の様子や外気温を常に気にして安全運転したほうがいい
サマータイヤは低温が苦手
何年か前に大雪が降った夕方に、皇居周辺、桜田門あたりの緩い坂道を上ることができず、乗り捨てられていた(?)クルマを、ニュースが実況していたことがありました。その場所を知っている人は、「なんであの程度の坂道で?」と思われるほど、普段は何でもない場所です。まあ、こんな事例はニュースを見るまでもなく、家の近所でも見かけることがあります。えっ、経験したことがある? そういう人も少なくないと思います。
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事実、ちょっとした雨なら普段と変わることなく運転できるし、経験的にいっても雨であればそれほど緊張はしないでしょう。でも雪になれば話は別。ちょっとの雪でも”たいした”ことになってしまうんです。雪が降るのは気温が3度を下まわったあたりから。ちらちらと降るくらいなら雨とそれほど大差なく、たいしたことはありませんが、うっすらと地面が白くなりだすと、サマータイヤはほぼ仕事をしなくなってしまいます。
これはタイヤのトレッドゴムの特性に関係しています。トレッドゴムは気温が7度以下くらいになると次第に柔軟性が悪く……つまり、硬くなっていきます。ドライ路面なら問題なく走ることができますが、路面が濡れてくると固くなったゴムは一気に滑りやすくなるのです。
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雪が降るような気温では、間違いなく7度以下。場合によっては0度以下になっていることもありますから、サマータイヤのグリップパフォーマンスは大幅に低下してしまいます。うっすらと白く積もり出した雪を踏むと、雪は簡単に溶けてしまいますが、このとき、タイヤと路面の間には、かき氷が解けかけたようなシャーベット状の雪が入り込んでしまいます。これがサマータイヤのグリップをさらに奪ってしまうのです。
その点、オールシーズンタイヤやスタッドレスタイヤは、こうした雪の路面が得意です。オールシーズンタイヤは夏も走れるようなゴムが使われているので、ゴムが冷えると硬くなりがちですが、それでもサマータイヤよりは低温での柔軟性が発揮できるように作られています。加えて、路面を引っ掻くのに具合のいいトレッドデザインになっていますから、タイヤと路面の間に入ったシャーベットを引っ掻き、路面とコンタクトしてくれるわけです。
スタッドレスはいうまでもなく氷雪性能を重視したゴムが使われ、またそうした路面に適したトレッドデザインになっていますから、さらに頼もしいグリップ性能を発揮してくれます。
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