この記事をまとめると
■納車前の新車でも傷がついているというケースが存在する
■納車後に傷を見つけて修復などを要求してもほぼ受け入れてもらえない
■ディーラーとの信頼関係の構築のためにも納車時の入念なチェックは欠かせない
新車だから傷がないとは限らない
新車販売業界では、納車前の新車について「傷があって当たり前」という気もちで入念にチェックしていると聞いたことがある。メーカーの工場から完成車としてラインアウトされ、キャリートラックなどに載せられ、当該ディーラーへ配車される間は木箱に入っているわけでもないので、確かに荷下ろしなどの課程でなんらかの傷がついてしまうことは十分に考えられる。実際、納車前の新車で傷がついているというケースは、かなり限定的ではあるが存在するようである。
購入者への発注車両の引き渡し、つまり納車のときには注文したボディカラーになっているか、注文したオプションが装着されているか、車検証と同じ車体番号そしてナンバープレートになっているか(ごく稀だが異なることも発生する)、そして外装の傷の確認を行うのが納車の際に行う確認行為となる。
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最近はこれらの確認や、車両に関する説明をセールスマンから聞いたかなどを項目ごとにチェックする書類があり、チェックしたあとに署名を求められることもある。過去には「車両受け証」のようなものがあり、そこに捺印すると、たとえ納車後に自宅へ戻った際に車体に傷があったとしても、ディーラーに対して修復などを要求してもほぼ受け入れてもらえない。
確認書面や受け証にサインするということは、仮に車体に傷があったとしても、傷がついていることも了承して当該新車を引き取ったことになるからである。だからといって、ディーラーも「あとは知りません」ということもないのだが、傷の補修程度しか対応が望めないのも一般的ともいえる。
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仮に車両交換に応じるようなケースがあったとしても、いったんナンバープレートを取得すると、取得した瞬間から減価償却が発生するし、新たに交換する車両を新規登録する際の法定費用や諸費用は持ち出しとなるなど、無償交換は期待できない(まったくないというわけでもないようだが)。
納車のときには、「新車が来た」ということで気もちで舞い上がっている。よほど大きな傷ではない限りは、たとえ外観チェックを行ったとしても、冷静に慎重に確認しないと「視界に入らない」ことが多い。買う側としては、「新車に傷などはない」という先入観があることも大きいからである。
「仮にセールスマンが納車直前に傷を発見したとすると、傷が見つからないように納車を済まそうとすることもあるそうです。外観確認のときに不自然に立ち位置を変えなかったりしたら、そこになんらかの『トラブル要因』があると考えたほうがいいでしょう」とは事情通。短時間の試乗では確認しきれない部分もあるが、納車時にはセールスマン同乗での試乗確認も忘れないようにしよう。
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「かなり昔の話ですが、ディーラーの配車センターで納車前の新車をぶつけてしまったことがあったそうです。フレーム修正が必要なレベルだったそうですが、外見だけ補修して納車したそうです。たまたま納車後すぐに物損事故により全損となったので損傷車両を納車したことはバレなかったそうです」(事情通)。