4WDは雨や雪に強いだけでなくドライ路での安定性も高い
しかし、スーパーハイト系軽自動車の場合、それでも高速直進性、横風安定性の不満がまったくないわけではない。現に、日本で一番売れているクルマとしても有名なホンダN-BOXの先代、2代目モデルは、2520mmの軽自動車として最長のロングホイールベースが与えられ、前後(FF)にスタビライザーを備えていたものの、極めて数少ないウィークポイントとして、高速直進性と横風安定性がユーザーの不満の声として挙がっていたのだという。
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そこで、プラットフォームを2代目からキャリーオーバーした3代目N-BOXの開発陣が行った対策が、サスペンションのリセッティングだった。2代目までのN-BOXは、工場での製造時に空車でサスペンションをセットしていたのだが、3代目となる新型では、人が乗車するとブッシュがねじれることを考慮し、生産ラインで人が乗車した状態を模して(車体を押さえつけて)、ブッシュを締結し、さらにフロントのアライメントを変更。アライメント設定も空車状態から乗車状態での設定に変更(フィット4から採用)。
結果、高速直進性を高めることができ、横風の強いシーンでもフラつきが抑えられ、一段と安心して走れるようになったというわけだ。
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実際、強風のアクアラインをN-BOXじゃないスーパーハイト系軽自動車で走行した際、こちらは横風にあおられまくり、恐る恐るの低速走行を余儀なくされたのだが、その横の追い越し車線をN-BOXがスイスイと走り抜けるシーンに遭遇したことが何度となくあったのである。
もっとも、スタビライザーなしのスーパーハイト系軽自動車でも、直進性についてはボディの空気の流し方や足まわりのセッティングなどによって、最新モデルは高速直進安定性で大きな不満が出る車種はまずないといっていい。もちろん、高速直進性について、FFより4WDのほうが有利であることは、すべてのクルマに共通している。
事実、とあるミニバンの開発、運動性能評価にかかわっている開発者に、「自腹で買うならどのグレード、駆動方式ですか?」と聞いたところ、「ハイブリッドの4WD、高速走行での安定感を重視するから」という答えが返ってきた。
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4WDというと、雪道や悪路に強い……というイメージが先行するが、軽自動車で高速道路をビシリと直進し、横風を気にせず走りたいというなら、N-BOXを例に挙げると、FFに対して4WDは燃費が10%程度落ち、13万円ちょっと高くなるものの、4WDの選択もアリではないだろうか。もっとも、アルファードクラスになれば、その点、2WDでもまったく問題ないといえる。