紙カタログの廃止でディーラーの敷居はさらに高くなる! 人手不足からのDX化と集客のジレンマに悩む「新車販売店」のいま (2/2ページ)

入りやすい店にしようと店舗の移転改築が増加

 いまどきはそれまでまったく縁のなかった、「完全フリー」な訪店客というものは少ないともされ、既納客への乗り換え促進が新車販売の主要なスタイルとされているが、それでも、その都度メーカーとかにこだわらず、「気に入った新車がほしい」というひとは存在する。

 少子高齢化、そして「失われた30年」などともいわれる長期の景気低迷など、新車販売を取り巻く環境はけっしてよくはない。発表1週間も経たずにスズキ・ジムニーノマドの受注台数が約5万台となったことで、新規受注を停止するというトピックは、飛びぬけて「あっ、いいな」と思う新車ならば、お客もディーラーに殺到するし、日本の消費者の購買力にもまだまだ期待できるともいえるが……。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)は我々の生活をより効率化させるだけではなく、豊かなものにしてくれているのは間違いない。ただ全体では「昭和臭」のただよう日本の新車販売の世界において、部分的にDXが進んでしまうとひずみが出てしまうのはやむを得ないのかもしれない。

 日本より加速度的に海外ではカタログのデジタル化は進んでいる。店頭を訪れるきっかけが減ると、同じ販売会社であっても幹線道路沿いにある新しくて大型の店舗(入りやすい)などと、市街地に昔からある小規模店舗では集客力にも店舗イメージでの入りやすさの違いから、集客力にも差が出てくる。

 なので、新規出店というケースはほとんどないのだが、幹線道路からはずれた場所にある店舗を一旦畳み、幹線道路沿いに綺麗で敷地の大きい店舗を新築して移転するという動きが目立ってきている。

 そもそも筆者の生活圏内では80年代からほとんど新車ディーラーの店舗は減っていない。それでも入りやすさを強調した立地や建物に改築したり、移転する動きは目立ってきている。

 いまの市場規模(バブル期の半分程度)では、店の数がそのまま販売シェアに反映されることもなくなってきた。またセールスマンやメカニックといった「働き手不足」も深刻となってきている。商談のきっかけが大きく変わろうとするなか、店舗集約なども今後進んで行くのではないかと見ている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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