出前に新聞配達でお馴染みだったスーパーカブ50が消える! ファイナルエディションが1万台も売れた「国民バイク」に敬礼!! (2/2ページ)

意外と知られていない「カブ」の系譜

 そんな「はたらくバイク」のスタンダードとなったスーパーカブですが、超がつくほどの省燃費性能を評価して、ホビーユースをメインに楽しむユーザーも増えていきます。そうしたユーザーを投資用語になぞらえて「カブ主」などと呼ぶこともあります。

 現在では、クロスカブやハンターカブなどホビーユースのバリエーションも増えたこともあり、スーパーカブではなく「カブ」と省略して呼ぶ人も多いでしょうし、そもそも「なぜに“スーパー”とついているんだろう?」と疑問に思っているかもしれません。

 その答えは単純で、スーパーカブ以前にホンダには「Cub(カブ)」という商品が存在していたからなのです。

 ホンダ・カブというのは自転車に取り付ける補助エンジンの製品名。「白いタンクに赤いエンジン」というキャッチコピーでスマッシュヒットとなり、ホンダの創成期を支えた製品でした。自転車を原付に進化させる「カブ」のネームバリューを活用しつつ、車体までホンダで設計製造した進化モデルであることをアピールするために“スーパーカブ”というネーミングになったといえます。

 同じような例は、四輪でもあったりします。奇しくもスーパーカブが年間55万台以上も売れていた1960年に誕生したダイハツのボンネット型の軽トラック「ハイゼット」が、そのモデルです。

 アルファベット表記では「Hijet」となりますから、ローマ字読みの感覚では「ハイジェット」とするのが自然ですが、ハイゼットという読み方になったのは、ダイハツの3輪トラック「ミゼット」があったから。ミゼットの兄貴分としての4輪トラックであるからミゼットの高級版ということでハイゼットという車名になったといわれています。

 というわけで、自転車用補助エンジンとしての「カブ」があったからこそ、「スーパーカブ」という車名が生まれたのです。ついつい”カブ”と省略したくなりますが、ホンダの歴史に敬意を表して、正しく「スーパーカブ」と呼ぶべきなのかもしれませんね。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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