まるで「虫食い」! この「穴だらけカラーコーン」が災害にも犯罪にも強い目から鱗のアイテムだった (2/2ページ)

穴が開いたことで得られるメリットはたくさんある

 そんななか、ある日に見かけたのが何個も穴があいているカラーコーン。まるで虫に喰われた葉っぱのよう? 近づくとカラーコーンのなかも向こう側も丸見えではないですか。

 じつはこれ、従来のカラーコーンの弱点を克服しようと、最近増えている「穴あきコーン」なのです。円錐形で、夜間にクルマのライトに反射するリフレクターがボーダーカラーのようにペイントされているのは変わりませんが、下部、中間、上部にそれぞれ握り拳程度の大きさの穴が複数あいています。なぜ、穴があいているのか、その理由は意外なものでした。まずは、風に強くなること。風速17.2km/秒以上を台風と呼びますが、それよりも強い風速31.3km/秒でも倒れないというからすごいですよね。

 次に、穴があいているため水の抵抗を軽減してくれて、くるぶしよりも上に雨水がきてしまうような大雨でも流されにくく、水害にも強いとされています。さらに、一見すると従来のカラーコーンのように硬い素材に見えるのですが、ぐにゃりと潰れてもすぐに元に戻る柔軟なPVC素材で作られているため、クルマが踏んでしまっても壊れにくいというメリットもあります。これなら、駐車場に設置しておいても安心ですね。

 また、この穴あきコーン、2023年に広島で開催されたG7サミットでも、交通整理に使用されました。というのは、カラーコーンの内部に爆発物を仕掛けたテロなどが報告されているため、穴があいていることで外からでも不審物の有無が確認しやすく、警備時の負担を軽減してくれるというのです。この点では、色がついていない透明な「まる見えコーン」も存在しますが、これならいちいちカラーコーンをもち上げて内部に不審物がないかどうかを確認しなくても、目視で確認できて安心ですね。

 というわけで、カラーコーンの穴はさまざまな利点を生み出していました。今後も、工事現場などで穴あきコーンが増えていくのではないでしょうか。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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