この記事をまとめると
■2001年にトヨタよりマークIIの兄弟車「ヴェロッサ」が登場した
■10人中2人に刺さればいいというデザイン重視のクルマであった
■デザインこそ突き抜けていたが中身がマークIIだったので2代目は生まれなかった
異色のセダン「ヴェロッサ」とは
トヨタのセダンに、開発キーワードが「エキゾチック」「エモーショナルセダン」(開発当初はファティッシュ&エロティック!!)という、目標値とかデータとか数値ではなく、感性、感性性能を重視したセダンがあったことを覚えている人は少ないだろう。それは、2001年7月に発売された、トヨタ・ヴェロッサのことである。
遡ること1年前、2000年に9代目となる新型マークⅡが登場した時、兄弟車のクレスタとチェイサーは存在しなかった。しかし、その2台を統合した後継車として華々しくデビューしたのが、基本骨格、メカニズムを最新のマークIIと共用するモデルであった(よって車両形式はマークIIと同じ)。
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トヨタ車として特異なキャラクターは、「ファミリーセダンとはまったく違う方向にあるワルな部分、光と影、昼と夜のコントラストを鮮明にした、走ってこそ美しいエキゾチックな雰囲気をもったクルマを目指した……」という開発陣の言葉からも明白だ。
つまり、デザイン最優先の企画であり、デザインコンシャスなクルマ作りの方向性だ。「デザイナーにテストコースをハードにガンガン走ってもらって、動いている姿が美しいクルマを創造してもらった。そして、15カ月かけて完成したデザインスケッチのまま、いかに作りあげるかに最大限のエネルギーを費やした。10人中、2人が熱狂してくれればいいんです」そう語ってくれたのは、ヴェロッサのチーフエンジニアの大橋さんだった。
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トヨタらしくないといえばそうだが、bBやWilL VSなんていうワルなコンパクトカーを続々出していた時代だから、ワルなセダンもアリだったということだろう。
イタリアンテイストがある、好き嫌いがわかれそうなエクステリアは全長4705×全幅1760×全高1450mm、ホイールベース2780mm。ベース車のマークIIより25mm短く、10mm低い、ショートオーバーハングなプロポーション。デザイン的には立体感あるランダムなハニカム状グリルやフェンダーと一体化した縦目ヘッドライト、フェンダーに深く刻まれたシャドーストリームライン、そして縦にボリュームのあるドア形状など、彫りの深いラテンの臭いさえする過激で超個性的な、いや、ワルっぽい佇まいが特徴だ(ボディパネルにマークIIとの関係は皆無)。
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