デビューから50年経っても色褪せることない魅力
S30フェアレディZのメカニズム
まずは諸元を見てみましょう。
日産フェアレディZのフロントスタイリング画像はこちら
[日産・フェアレディZ(S30型)]※()内の数字は2by2
乗車定員:2(4)名
ボディタイプ:3ドア・ファストバック
駆動方式:FR
エンジン型式・タイプ:L20型1998cc直列6気筒
最高出力:130馬力/6000 rpm ・
最大トルク:17.5 kgf·m/4400 rpm
変速機:4速MT/5速MT/3速AT
ホイールベース:2305(2605)mm
全長:4115(4425)mm
全幅:1630mm
全高:1280(1290)mm
車両重量:975(1145)kg
サスペンション:前後ストラット
ブレーキ:前・ディスク 後・ドラム(リーディングトレーリング式)
このS30型フェアレディZは、前述のように市場でのバリューを高めるために低コストでの生産が大きな課題でした。そのため、日産他車種との共通部品を使用したり、構造をできるだけシンプルに見直したりという努力と工夫が注がれています。その結果、シャーシやサスペンションも極めてシンプルな構造となり、軽量化にも貢献しています。
エンジンは当初2リッターOHC直列6気筒の「L20型」が採用されました。のちに2.4/2.6/2.8リッターのバリエーションが追加されます。最高出力は130馬力と、当時の欧米の高性能スポーツカーに比べると頼りない数字ですが、軽量な車体の恩恵で、総合的には肉薄するパフォーマンスを見せていました。トランスミッションはベースグレードが4速MTと3速AT、上位グレードに5速MTが用意されていました。
日産フェアレディZのエンジン画像はこちら
サスペンションはごくごくシンプルな前後ストラットとなっていて、どうしてもコストダウンを感じてしまう部分ですが、実際の走りはけっして頼りなかったり安っぽい印象はなく、むしろ200km/h巡航はあながちウソではないと感じられる安定感があります。
S30型フェアレディZの魅力はそのデザイン
開発初期の段階では、ターゲットの車種にジャガーEタイプやポルシェ911を据えていたというS30型フェアレディZ。
そのため、デザイン面でもすでに市場で高評価を得ているそれらの車種を参考にしたと見られています。ロングノーズの流麗なフォルムには、ジャガーEタイプの影響を感じます。
日産フェアレディZのサイドビュー画像はこちら
しかし、フェアレディZを特徴付けるヘッドライトやウインドウグラフィック、テールライトなどの各要素には独自の意匠が凝らされていて、ほかのスポーツカーたちのなかに混じっても、すぐにフェアレディZだとわかる存在感が備わっています。
旧車としての人気の高さ
この「S30型フェアレディZ」は、日本だけでなく世界的に盛り上がりを見せる日本車の旧車ブームの牽引役の代表格といって間違いないでしょう。発売された当初の人気もかなり高かったようですが、それから50年以上経ったいままで、途切れることなくずっと一定の人気の高さを保っていました。
日産フェアレディZのフロントスタイリング画像はこちら
その人気の要因のひとつは、間違いなく先述のデザインのよさでしょう。ひと目でわかるスポーツカーらしさを感じる佇まいは、スポーツカー好きなら自然と惹かれてしまう魅力があります。
また、販売台数が多かったことから、中古車市場でもタマ数が多く、比較的安価で入手できるのも支持された要因のひとつでしょう。
そんな「フェアレディZ」ですが、その人気の高さから中古車の相場が高騰し、いまやその当時の何倍もの価格になってしまっています。状態のいい個体はおいそれと手が出せる価格ではなくなってしまいましたが、それでもほしいという人がいるという事実は、フェアレディZの魅力の高さを証明しているといえるでしょう。