この記事をまとめると
■オーテックでは日産の市販車をベースにさまざまなカスタマイズカーを手掛ける
■初代社長にはスカイラインの父としても知られる桜井眞一郎氏が就任していた
■カスタマイズカーでありながらメーカーの保証付で新車として買える点がトピックだ
湘南の技術屋集団は幅広い車種を手掛ける
日産自動車のスペシャリストとして多くのカスタマイズカーやビジネスカーなどを手掛け続けてきた「オーテック」。設立時の正式名称はオーテックジャパンであり、現在は日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社のカスタマイズカーを手掛ける事業部となっている。
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そんなオーテックは1986年10月に設立されており、当時の日産プリンス自動車販売の特販推進室の事業を譲り受け、日産車をベースとした特装車の開発、企画、製造を目的とした企業となっていた。
特装車というのは、現在リリースされている「AUTECH」シリーズのように、ベース車をより魅力的にカスタマイズやドレスアップ、チューニングを施したもののほか、福祉車両や救急車、バスやタクシーといった人員輸送車に、トラックやバンといった働くクルマまで、幅広いものとなっている。
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またオーテックジャパンの前身である日産プリンス自動車販売の特販推進室ではドラマ「西部警察」に登場した特殊車両の制作も担当しており、少量生産のスペシャルモデルの作成なども請け負っていた。
なおオーテックジャパンの初代社長には、スカイラインの父としても知られる桜井眞一郎氏が就任しており、R31をベースとした「GTSオーテックバージョン」や、R32の4ドアにNA化したRB26エンジンを搭載した「オーテックバージョン」、R33GT-Rをベースに4ドア化した「スカイライ GT-R 40thアニバーサリー」など、スカイラインをベースにしたモデルも多く存在している。
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さらに1989年にはイタリアのカロッツェリア・ザガートと共同開発で「オーテック・ザガートステルビオ」というオリジナル車両を200台限定でリリース。
このモデルは大元こそ2代目のレパードがベースで、エンジンもVG30DET型が搭載されていたが、エクステリアはレパードの面影はまったくないオリジナルのハンドメイドのアルミ製ボディが与えられており、内装もインパネ形状こそレパードと共通だが、本革やベロア、本木目パネルといった高級素材をふんだんに使用。
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メーターも専用の文字盤が与えられていて、車検証上もレパードの改造車という扱いではなく、車名は「オーテックザガート」、型式は「E-AZ1」という専用のものが取得されていたのである。
そんなオーテックの売りは、なんといっても「ファクトリーカスタム」ともいわれるメーカー謹製のカスタマイズカーをリリースしている点だ。ベース車からさまざまなカスタマイズがなされているにもかかわらず、日産ディーラーで普通に購入することができ、メンテナンスや保証なども通常のモデルと同様に受けることができるという点だろう。
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また、ユーザーとのコミュニケーションに力を入れているのもオーテックの特徴のひとつで、毎年オーテックの地元でもある茅ヶ崎にある大磯ロングビーチを会場に「オーテック オーナーズ グループ 湘南里帰りミーティング」が開催されているのも知られるところだ。
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2022年4月からはニッサン・モータースポーツ・インターナショナルと統合して日産モータースポーツ&カスタマイズとなっているが、オーテックブランドとしては変わることなく魅力的なカスタマイズカーを多くリリースしているのはご存知の通りで、創業40周年となる来年にはどんな記念モデルがリリースされるのか、今から期待したい。