ディテールに至るまで隙なく磨き上げられた270R
トランスミッションも純正のままだが、ファイナルギヤ比をローギヤード化することで加速性能を向上。ストリート仕様ゆえに、低中速域のトルクを重視しつつ、高回転まで落ち込むことなく、スムースに吹き上がる特性を狙ってチューニング。クラッチは高出力化に合わせてNISMO製の強化品に変更、リヤデフにもNISMO製の機械式LSDを装着。パワーをしっかりと受け止め、トラクション性能も高められた。
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サスペンションは、エンジンマウントやリンクブッシュなどすべてをNISMO製の強化ゴムに交換した上で、NISMO製の減衰力調整式ダンパーとタイプDと呼ばれたローダウンスプリングを組み合わせた。ただし、当時は車検制度の規制緩和前であったため、車高は10mmダウンに留めている。
ブレーキはR32型スカイライン用のフロント4ポット、リヤ2ポットキャリパーとローターに交換。大容量化でポテンシャルに見合うよう強化。ホイールはNISMO製の5本スポークデザインで、タイヤはフロント215/60R16、リヤ225/50R16とワイド化している。
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エクステリアは、NISMO製のフルエアロキットを組む。フロントバンパー、サイドスカート、リヤスポイラーなどは購入可能だったが、エンジンルーム内の冷却性を狙った270R専用のエアスクープ付きボンネットは購入不可。シルビアオーナー憧れのパーツとなった。
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インテリアはチェッカーフラッグ柄の生地となり、メーターパネル、ステアリングやシフトノブもNISMOロゴの入った専用品だ。アフターマーケットのチューニングショップが手がけるマシンのような飛び抜けたパワーはもたないが、メーカー系のコンプリートカーらしく、欧州車コンプリートカー同様に各部が隙なく磨き上げられているのが特徴だ。
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この成功により、NISMOはR33型スカイラインGT-Rをベースにしたコンプリートカーである「NISMO 400R」の開発に本格的に着手することを決断。
270Rは、単なる10周年を記念した特別仕様車ではなく、NISMOがコンプリートカー市場に本格参入するための礎となったモデルであり、その後、ビジネスの柱となるアフターパーツ事業の基礎作りにも貢献。そして、現在のNISMOロードカーシリーズへと繋がる重要なマイルストーンでもあった。