クルコンにシートヒーターにABSまで付いてる……ってこれバイクの話ですよ! クルマ好きには目から鱗なビッグスクーターの世界 (2/2ページ)

全身を風と熱にさらすライダーを労ってくれる数々の快適装備

 また、ホンダ・フォルツァの2025モデルは海外向けながら、スロットルバイワイヤ+DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載し、ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール (HSTC) がきめ細かく後輪トルクを調整、DCTとリンクして最適なパワーデリバリーを実現しています。これも、路面状況に走りが左右されるバイクならではのサポートで、雑なアクセル操作でもスリップなどは起こらず、いつでも最高のトラクション、走りが得られるというもの。使えば使うほど、ありがたみがわかる装備です。

 かつて、スズキのフラッグシップスクーターだったスカイウェイブ650LXにしても、至れり尽くせりとしかいいようのないゴージャス装備を全部載せ! 冬のライディングを快適にするグリップヒーターとタンデムシートも暖めるシートヒーターをはじめ、スイッチひとつで調整できる電動スクリーン、高級セダン並みの電動格納ミラー、そして、シート下にはフルフェイスヘルメットを2個いれても余裕がある収納スペースなど、挙げはじめたらキリがありません。

 もちろん、ハード面でも抜かりはなく、アイドルスピードコントロール付きエンジンのおかげで冷間時の始動性が向上したり、6段変速マニュアルモード付の電子制御式CVTはちょっとしたスポーツバイクを追いかけまわすほどのパフォーマンスを約束してくれるのです。

 個人的にビッグスクーターが羨ましいと思うのは、高速走行時の防風性と、エンジンからの発熱がライダーを攻撃しないところでしょうか。全身をさらし、風に抗って走ることは意外と体力を消耗するものですし、エンジンの熱は、たとえレザーウェアを着用していても低温やけどを負うことすらあるのです。こうしたリスクを最低限に抑えたビッグスクーターなら、たしかに何百キロも走るツーリングだって楽しいはず。

 後席に乗ったパートナーからケツが痛いなんてクレームもないだろうし、ツーリングの帰りはお土産だって満載できます。それでいて、大排気量のパワーが存分に味わえるときたら、ちっちゃなクルマであくせく走るのが色あせてくること間違いないでしょう。

 無論、大型車ゆえの燃費や、原付とは比べ物にならない車重による厄介な取りまわし、あるいは車検のことが気になる倹約家もいらっしゃることでしょう。ですが、ビッグスクーターに一度でも乗ってしまえば、その味わいは病みつきなること請け合い。バリっとしたスポーツカーにも通じる楽しみがあるといっても過言ではないのです。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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