このシステムはプレリュードにも搭載してほしい
早速ヴェゼルをテストするが、まずは現状のヴェゼルから。エンジンは1.5リッターの「e:HEV」だが、四駆はプロペラシャフトを介してリヤアクスルに伝わるタイプ。しかし、トランスファーはビスカスカップリングでこれは現代ではゾンビ技術のように思われるが、じつはモーターとの相性がよくメカ四駆でも走りやすかった。ビスカスカップリングはトルクセンシング型ではなく、回転数で制御するタイプなので、緻密に回転を制御できるモーターとの相性がよいと思った。
次に次期型ヴェゼルに乗り換える。エンジンの排気量は変わらないが、タンブル(縦渦)が可能な高速燃焼エンジンで、出力アップと燃費のよい領域が拡大している。発進時からの違いは明確だ。
![新型e:HEV 4WDシステムを搭載したヴェゼルのリヤから見た雪上走行シーン](https://cdn-webcartop.com/wp-content/uploads/2025/02/honda_winter_020920250034.jpg)
「SPORT」でドライブすると、プレリュードと同じように自動的にシフトダウン。エンジンは新型1.5リッターなので発電効率も高まり、前後のモーターは元気よく仕事する。雪の壁に突っ込まないように、一カ月後に始まる全日本ラリーの練習のつもりでペースアップ。路面を読み、挙動を作るのがドライバーの仕事。サイドターンができないので、タイトコーナーの手前ではフェイントでリヤを流す。
![新型e:HEV 4WDシステムを搭載したヴェゼルの横から見た雪上走行シーン](https://cdn-webcartop.com/wp-content/uploads/2025/02/honda_winter_020820250008.jpg)
S+シフトのおかげでブレーキングでは自動的にエンジンの回転が高まり、コーナーリング中のスロットル・オンでは、タイヤに瞬時にトルクが伝わる。規定周回はあっという間に終わったが、途中に鈴鹿サーキットのS字カーブのようなコーナーがあったので、スロットルを全開でクリアしてみた。左右の荷重移動を使いコーナーはインカットし、壁に当てないようにコントロールできた。その瞬間に体内にはアドレナリンが湧き出ていたが、この感覚はスペインで乗ったポルシェ911GT3(新型)のアドレナリンと同じだった。
![新型e:HEV 4WDシステムを搭載したヴェゼルのリヤから見た雪上走行シーン](https://cdn-webcartop.com/wp-content/uploads/2025/02/honda_winter_020820250006.jpg)
サーキットでも、雪のワインディングでも、限界ギリギリを自在に操縦できた瞬間に、私はエクスタシーに達する。初めて四駆でラリーに出たには1979年のレオーネ。それ以降、スカイラインGT-R、インプレッサと四駆でラリーやレースを走ってきたが、量産車でアドレナリンがでたのは最近ではテスラモデル3(雪でテストずみ)とこのヴェゼルだ。あっ、マツダのCX-80もアドレナリンが少しでた。
![新型e:HEV 4WDシステムを搭載したヴェゼルと清水和夫氏](https://cdn-webcartop.com/wp-content/uploads/2025/02/honda_winter_020820250011.jpg)
問題はこんな走りやすいヴェゼルのモーター四駆のファクトを紙面では伝えにくいこと。先に書いたが、プレリュードに足りないものはこのヴェゼルのモーター四駆を移植してほしいということ。少し車高をあげて、ポルシェのダカールのようなプレリュードなら、絶対にほしくなる。そんな夢をみさせてくれた雪のイベントだった。