大気汚染の原因はクルマ以外にもあり
筆者のスマホは中国シャオミ製なせいかもしれないが、天気予報アプリを開くと 「大気汚染指数(AQI)」というものが表示される。これは「大気質指標」とも呼ばれるもので、PM2.5や一酸化炭素など6つの空気中の大気汚染物質を指数式で測定し、それに基づいた健康リスクを指標で表示するものである。筆者が日本で住んでいる地域はおおむねこの指標は60弱となっている。
上空が霧のような状態になっているデリー市内の様子画像はこちら
そこで霧(?)の深い日にこの大気汚染指数をみると、日本の約6倍となる299が表示されていた。ワンポイントアドバイスには「大変危険ですので、外出せず窓を閉めて自宅にいてください」と書かれていた。この表示を見た瞬間、あくまで気もちの問題だろうが、少し息苦しさを感じてしまった。
ちなみに本稿執筆段階では、東南アジア諸国で大気汚染が深刻となって大騒ぎとなっていた。報道をみると大気汚染指数164ぐらいで学校を休校にするなど、まさに大騒ぎとなっているが、デリーで164あたりの数値は滞在中一般的に表示された数値なので、インドの大気汚染問題の深刻さをよく理解することができた。
デリー市内の街なかの様子画像はこちら
この日、デリー市内各地では霧状にした水を空中に散水するトラックが出動していた。これは霧状に放水した水が大気中の汚染物質とともに地上に落ちることで、大気汚染を少しでも改善しようとして行われているとのことであった。
デリー市内を走る霧状にした水を空中に散水するトラック画像はこちら
確かにデリー市内にはクルマがあふれ、あちこちでヘビーな渋滞が発生しているのだが、クルマが大気汚染の主原因というわけでもなさそうだ。より深刻な影響を与えているように見えたのが、デリーのあちこちで見かけた「たき火」である。
路肩の草を野焼きしている様子画像はこちら
前述した大気汚染指数が299となった日の前夜は気温の低下が激しく、寒さから街のあちこちでひとが集まっているところの多くでは、地面で直接火を起こして暖をとっていた。しかもそのたき火の煙りの臭いには、プラスチック系のものを燃やしたような、やや有害と感じる臭いがしていた。とにかく街じゅうにヤバそうなたき火の煙りの臭いが充満していた。さらに、デリー市近隣都市の農作地帯では「野焼き」もいまだに行われているようで、これも大気汚染問題を深刻化させているとの報道も見たことがある。
調べてみると、インドで大気汚染が酷いときは大気汚染指数が500近くまでになるとのことであった。
「クルマだけが大気汚染の原因」というわけでもないが、ICE(内燃機関)車を放っておくわけにもいかないだろう。今度デリーを訪れたときにはさらに大気汚染が改善されていることを願っているし、おそらくそれは実現しているだろう。