この記事をまとめると
■ゼブラゾーン(導流帯)は跨いでも違反にならない
■車両の通過速度を減速させるためにゼブラゾーンは設置されている
■ゼブラゾーンを直進することは違反ではないが交通マナー的には褒められるものではない
ゼブラゾーンが設置されることの意味
右折レーンの手前でちょくちょく見かけるゼブラゾーン。あれは、正式には「導流帯」と呼ばれるもので、「車両の安全かつ円滑な走行を誘導するために設けられた場所であること」を示すための「指示表示」だ。
1960年、当時の建設省(現:国土交通省)の「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(昭和三十五年総理府・建設省令第三号)で規定されたされたもので、道路交通法上の交通規制を表す表示ではない。
したがって、ゼブラゾーンを跨いで走っても違反・違法ではなく、取り締まりの対象にはなることはないため、警察官に見られてもお咎めなしだ。
だとすれば、スペースがあるにもかかわらずゼブラゾーンを設けて、わざわざしばし直進させて、そののち車線変更させるようになぜレイアウトしたのか?
右折レーン手前に設置されたゼブラゾーン画像はこちら
道幅が広がれば、その地点から直接右折レーンに入れたほうが、よっぽど「車両の円滑な走行を誘導する」趣旨に適っていると思うのだが?
国土交通省では、右折レーン手前のゼブラゾーン設置の理由を次のように説明している。「右折レーン手前に導流帯を設置しているのは、速度が高いまま交差点へ進入して右折することを抑止するのが目的」と。
要するに、サーキットのシケインと同じで、車両の通過速度を低減させ、減速させるために設置されているということだ。減速させるための構造物なら、スムースさを犠牲にするのは、ある種当たり前のこと。
レースではシケイン不通過やショートカットをすると、そのラップのタイムが抹消されたり、トラックリミット違反で警告を受け、F1では決勝中に4回の走路外走行をすると5秒ペナルティが与えられる。
市街地や高速道路などの公道で、ゼブラゾーンを跨いでも、前述のようにペナルティは取られないが、マナー的にはあまり褒められたものではないかもしれない⁉
ゼブラゾーンを跨いで走行している様子画像はこちら
ただ、興味深いことに、事故発生時の過失割合を見てみると、ゼブラゾーンを跨がず、ゼブラゾーンが途切れたところで右折レーンに入ってきたクルマと、手前からゼブラゾーンの上を走ってきたクルマが接触してきた場合、進路変更した側が70:ゼブラを跨いで直進してきた後続車が30というのが、判例の基本となっている。
ゼブラゾーンを避けた側に優先権があるわけではないことを、この判例が裏付けているので、お行儀のいいドライバーもこのことは頭に入れておこう。